約 2,440,668 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2153.html
ウサギのナミダ ACT 1-27 □ ゲームセンターは大歓声に包まれた。 東東京地区チャンピオンが繰り広げた死闘に誰もが興奮していた。 純白の女王が、醜聞にまみれた神姫をうち負かした。 ギャラリーの多くは、そんな英雄譚を目の当たりにしたと思っているのだろう。 観客達の興奮をよそに、俺も高村も呆然としていた。 あまりに劇的な結末に、思考がおいつかない。 フィールドの映像が消える。 死闘の舞台となった廃墟は消え去り、無機質な筐体の姿に戻る。 アクセスポッドが軽い音を立てて開いた。 「……ティア」 俺は自らの神姫に声をかける。 ティアは立派に戦った。 全国大会でも優勝候補と名高い、あの『アーンヴァル・クイーン』をあそこまで追いつめたのだ。 せめてねぎらいの言葉をかけようと、アクセスポッドをのぞき込む。 ティアは膝を抱えて、うずくまっていた。小さな肩が震えている。 「ティア……どうした」 うるさいぐらいの歓声がいまだやまない。 ティアは何か言っているようだが、俺の耳には届かない。 「お前はよく戦った。そんなに落ち込むこと……」 「……った」 「え?」 「勝ち……たかった……勝ちたかった、勝ちたかった! 勝たなくちゃダメだったんですっ!!」 「ティア……?」 突然振り向いて叫びだしたティア。 驚いた。 こんなに感情をむき出しにしたティアを見たことがない。 俺は気後れしながら呟くように言った。 「なんでだよ、こんなただの草バトル一つが……」 ティアは大きく頭を振った。 ティアの顔は泣き顔に歪んでいた。大きな涙が瞳から流れては落ちていく。 いつもの可愛らしさは微塵もなかったが、感情を顕わにした表情が生々しくて、かえって美しかったかもしれない。 「だって……あのひとに勝てれば、証明できるから……マスターが正しいって、みんな認めてくれるはずだからっ……!!」 「……っ!」 俺は言葉を失った。 俺のため、だと? 「……マスターが作ったこのレッグパーツも、マスターが考えたこの戦い方も……クイーンに引けを取らないって。 わたしがマスターに教えてもらったものは、なんの罪もなく、正しく、つよいんだって!」 激しい口調で言い募っていたティアは、不意に顔を伏せた。 静かな口調になりながら、なおも言葉を紡ぐ。 俺は驚いた表情のまま、聞いていることしかできないでいる。 「……そうしたら、みんな認めてくれます、マスターのこと……。きっと、マスターのこと悪く言う人はいなくなる……わたしだけが汚いって、そう言われればいい……。 嫌だったんです……マスターはわたしに優しくしてくれて、とっても優しくしてくれて……後ろ暗いことなんて何もしてないのに……だけど、だけど……わたしのせいで、みんながマスターを傷つける……そんなこと、耐えられなかったんです……」 いつしか、歓声はなりを潜めていた。水を打ったように静まり、ゲーム機のデモ音だけが遠くから聞こえてくる。 気がつけば、その場にいる観客達すべてが、ティアの言葉に耳を傾けているようだった。 「だけど、わたしにはできることもなくて……マスターに返せるものも、なにもなくて……。 だから、雪華さんとのバトルは、わたしにとっては最初で最後のチャンスだったんです。 彼女ほどの強くて有名な神姫にわたしが勝てれば、みんながマスターを認めてくれるはず……だから、どうしても、マスターを勝たせてあげたかった……でも!」 透き通った滴は、次から次へと、ティアの瞳から生まれては落ちていく。 ティアの心から溢れ出した、悔しさや悲しみや情けない気持ちが、まるで形になっているかのように。 「負けてしまった……わたし、マスターの言いつけを破ってまで、雪華さんと戦ったけど、負けてしまいました……。 ……ごめんなさい、マスター。ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」 もう、そこから後は声にならなかった。 ティアは泣きじゃくって、何度も何度も瞳を手でこするが、そのたび涙がこぼれてきて止まらなかった。 ◆ ティアのすすり泣く声だけが、店に響いていた。 誰もが押し黙り、居心地を悪くしながらも、泣きじゃくる神姫から目が離せずにいる。 そんな静寂を甲高く小さな足音が破った。 カツン、カツンと、規則正しく鳴り響く。 雪華だった。 彼女はアクセスポッドから出ると、筐体を横切ってティアに近づいていく。 その顔は平常と変わらず、誇りと決意に満ちていた。 誰もが、マスター達すら身動きが取れずにいる空気の中、彼女だけが決然とした歩みを進めていく。 ティアのアクセスポッドの前にやってくると、歩みを止めた。 ティアもその気配を察し、涙をボロボロとこぼしながら、雪華の方を振り向いた。 雪華と目が合う。 すると、雪華は真剣かつ厳しい表情で、ティアを見つめた。 何をするのか、その場にいる全員が緊張して見つめている中で。 なんと雪華は、その場で膝を地について、右手を胸に当てて、ティアに礼の姿勢を取ったではないか。 『クイーン』の二つ名を持つ誇り高き神姫が、自ら膝を折り、最上級の敬意を払っているのだ。 そしてさらに。 「ティア……わたしの負けです」 その場にいた人々、そして神姫達の間に動揺が走った。 いや、誰よりも驚いていたのは、雪華のマスター・高村かも知れない。 大きく目を見開いて、雪華の背をみつめている。 あの誇り高い神姫が、ジャッジAIの判定を自ら覆し、敗北を認めたのだ。 そんな周りの様子など目にも入らないかのように、真剣な顔つきで、それでいてとても優しい声で、雪華は続けた。 「わたしも、今の戦いの中で疑問に思っていました。たかが草バトル。どうしてあなたはそうまでして戦うのか、と。 でも、そんなことは考えるまでもない、当たり前のことでした。 マスターのために戦う。 それは、わたしたち武装神姫にとって、もっとも根元的で、もっとも尊い思いです。 わたしは、強くなることにこだわるあまり、そんな当たり前のことさえ気がつかなかったのです。 その思いこそが、一番大切な支えであることすら忘れて……」 雪華はティアから視線を逸らし、うつむいた。 美しい顔に苦渋が滲んでいる。 「ティア……わたしは恥ずかしい。 あなたの大切な戦いを、たかが草バトル、とあなどっていました。 ……思い上がっていました。 わたしこそ、武装神姫としてあるまじき存在です。 どうか……お許し下さい」 雪華はさらに頭を深く下げる。 ティアはしゃくりあげながら、あわてた様子で声をかける。 「そんな……ひっく、せつかさ……かお、あげて……ひっく、えぐ」 一拍の間をおいて、雪華がゆっくりと顔を上げた。 そして、再びティアをまっすぐに見つめて言う。 「武装は神姫のアイデンティティ、技はマスターとの絆」 雪華の赤い瞳に、泣きはらしたティアが映っている。 「あなたは武装ではなく、技を持ってわたしと渡り合った。そして、わたしをギリギリまで追いつめた。公式戦でも、あそこまで追いつめられたことはありません。 あなたとマスターの絆こそがあなたの強さ。 ならば、あなたのマスターは、正しくそして強い。少なくとも、このわたしを負かすほどに」 雪華の声は真剣そのものだった。 雪華は心からティアを賞賛し、自らの敗北を当たり前の事実として受け止めているようだった。 「そして、ティア。武装神姫として、誰よりもあなたを尊敬します。 そんなあなたと、わたしはライバルであり、友達でありたいと思っています。 もし、許されるのであれば……わたしなどでよければ……認めてくださいますか?」 ■ 雪華さんの言葉に、わたしは驚いて目を見開いた。 とんでもないことだった。畏れ多いことだった。 泣くことすら忘れて、首を横に振った。 「だ、だめですっ……そんな、わたし、みんなからなんて言われているか……雪華さんに迷惑がかかります……っ」 「いいえ」 彼女はゆっくりと立ち上がると、アクセスポッドに身を乗り出した。 そして、優しく、強く、わたしをを抱きしめてくれた。 「迷惑なんてかかりません。誰がなんと言おうと関係ない。あなたと戦った神姫ならみんな分かっているはずです。あなたは素晴らしい神姫であると」 雪華さんは断言する。 「そんなあなたを育てたマスターは間違ってなどいない。正しく、理想のマスターであると思います」 ……わたしは雪華さんの胸にすがりついた。 もう止まらなかった。 大きな声で、子供のように泣きじゃくった。 伝わった。 わたしの大切な思い、このひとには伝わった。 マスターのこと、わたしのこと、信じてくれた。 ありがとう、と。 口に出そうとしたけれど、うまくいかなかった。 □ バトルロンドのコーナーは喧噪に包まれている。 俺たちがバトルしていた筐体の周りに人が集まり、いまだ誰もバトルを始めようとはしない。 誰もが今のバトルの話に夢中だった。 筐体の上では、ギャラリーしていた神姫たちが集まり、ティアと雪華をもみくちゃにしていた。 そんな中、俺は考え事をしながら、のろのろと片づけを行っていた。 すると、筐体の向こうから、にこやかな笑顔がやってきた。 「ナイスファイトでした」 高村が俺に左手を差し出す。 俺は椅子から立ち上がると、彼の左手を取って握手した。 俺の右手は、いまだ包帯が巻かれている。 「……こちらこそ。……変な幕引きになってしまって、すまない」 俺が頭を下げると、高村はゆるゆると首を振った。 「いいえ……僕たちには実りの多い幕引きでした。価値ある敗北だったと思います」 「敗北? 君たちの勝ちだろう?」 「いえいえ。雪華が負けを認めたのです。彼女の意志は、マスターの僕であっても覆せない」 高村の笑顔からはそれ以外の意志は読みとれなかった。 雪華は自分の意志を曲げないし、頑として譲らないらしい。相手がマスターであっても。 誇り高いというか、融通が利かないというか……。 「でも、雪華も少しは考え方を変えるでしょう。 いままでの雪華は、試合に勝つことを一番に考え、それこそが強くなることだと思ってきました。 でも、今日、それでは計り得ない強さがあることを知った。 あなたたちのおかげです。ありがとう」 高村は素直に頭を下げた。 俺の方こそ恐縮してしまう。 「……試合前は、失礼なことを言って、すまなかった。 俺たちとバトルすれば、君たちが中傷されるかも知れないと思った。 だから、バトルを断るつもりで……あんなことを言ったんだ。 本当にすまない……三枝さんも、すみませんでした」 俺が謝罪して頭を下げると、三枝さんは驚いていた。 まあ、あれだけ嫌味を含めて断っていたのだから、信じられないのも無理はないと思う。 高村は、やはり笑って、 「わかってますよ」 と頷いた。 そんな彼に、俺は思っていたことを口にする。 「高村……今度、もう一度バトルしてもらえないか? それから、もっとゆっくり話がしたい。今日はずっと変な流れで、俺自身、納得がいっていないから……」 「喜んで」 高村はポケットから名刺を取り出すと、俺に差し出した。 「僕の連絡先です。気が向いた時にでも連絡してください」 「ありがとう」 俺は素直にそれを受け取った。 必ず連絡しよう。高村とも雪華とも、話したいことがたくさんある。 そして、今度は何のしがらみもなくバトルがしたい。 その時のティアも雪華も、きっと今とは違っているだろう。同じバトルにはきっとならない。 「……だけど、再戦したら、秒殺されそうだ」 「それはないでしょう。だって、あなたは雪華用の戦略をすでに考えているでしょう?」 「ちがいない」 俺と高村は笑った。彼に笑いかけたのは、これが初めてのような気がする。 俺はつくづく失礼な奴だ。 だが、許して欲しいと思う。俺たちを取り巻く問題が一応の解決を見たのは、今朝の話だったのだから。 そして、気がついていた。 俺にはまだやらなければならないことがあった。 ◆ 虎実は、筐体での喧噪には混じらず、大城の肩の上で一人物思いに耽っていた。 ティアは、一戦交えたときから、虎実の憧れであり、目標だった。 いつもオドオドした態度にいらつくこともあったが、バトルでの彼女を純粋に尊敬していた。 虎実はいつもティアを無視していた。 自分が決めた最大のライバルとなれ合うのはごめんだと思っていた。 だけどそれは、彼女の素直でない性格からくる考えだった。 今日のバトルを見て、虎実は思った。 やはり、自分の目に狂いはない。ティアはすごい神姫だった。 クイーンの最大攻撃をかわせる神姫なんて、他にいるはずがない。 そして、雪華がティアに「友達になってほしい」と言ったとき。 虎実は自分の気持ちに気がついた。 そう、友達になりたかったのだ。 ティアに自分を認めてもらいたかったのだ。 自分がティアにとって、胸を張って友でありライバルであると言える神姫だと、そう思って欲しかったのだ。 だから、納得のいく自分になったときに、バトルしてもらいたいのだ。 自分のすべてを見てもらうために。 虎実は雪華がうらやましかった。妬ましくて仕方がない。 でも、虎実は自覚する。自分はあの二人の足下にも及んでいない、と。 「なあ、アニキ……」 「ん?」 「アタシ……トオノにあんなえらそうなこと言ったけど……ティアと戦う資格、あんのかな……」 ミスティにはその資格があると思う。このゲーセンで実力を示し、三強をもひとにらみで黙らせる。 その実力を持って、今日、遠野とティアをここに招いたのだ。 悔しいが、認めざるを得ない。 それに比べて虎実は、やっとランバトの上位に食い込んだところだ。 だが。 「……ばっかじゃねぇの?」 彼女のマスターである大城は、呆れた声で言った。 虎実は大城に振り向く。 「資格とか、そんなもの、必要なモンかよ。 バトルロンドは、お前が考えてるほど堅苦しくないぜ? バトルやりたきゃ、遠野にそう言えばいい。 そんなこと考えてるのはよ、虎実、お前だけだ。 意地っ張りはやめて、ティアとバトルしたいって、言えばいいんだよ」 虎実は大城の言葉にむっとした。 でも、反論できなかった。アニキの言うことは正しい。 結局、虎実の意地っ張りな性格が、素直な気持ちに邪魔をしているだけなのだ。 それでも、と虎実は思う。 それでも、納得のいく自分になって、ティアに挑みたい。 その気持ちは本当だった。 もしかすると、納得のいく自分になるために、ティアを目標にしているのかも知れない。 「それでも……やっぱり、自分に納得がいってから、ティアと戦いたい。 そうじゃなきゃ、またはじめの時みたいに、悔しい思いをすると思う」 それは約束だ。 あの日、遠野に必死でお願いをした、約束。 遠野は約束を守って、ティアをバトルロンドに連れ戻してくれた。 その約束を守るためにも、半端な自分ではだめだ。 虎実は決意を新たにする。 納得いくまで、自分のスタイルをつきつめよう、と。そして強くなろう、と。 大城はため息をついたようだったが、気にもならなかった。 □ バトルロンドコーナーでの喧噪が、ようやく収まってきた頃。 「ティア、帰るぞ」 頃合いを見計らい、俺はティアに手の甲を差し出す。 ティアはまだしゃくりあげながら泣いていた。 そばにミスティがついていて、まわりを四人のライトアーマーの神姫たちが囲んでいる。 神姫たちはティアに道をあけてくれた。 ティアはまだ震えながら、俺の手に乗る。 ミスティたちは気遣わしげな表情で、俺を見た。 俺の心に、彼女たちの優しさが染みた。 ティアをこんなに思ってくれている仲間がいる。認めてくれている友がいる。 そしてもう、それを捨てようなどと、俺たちは考えなくてもいいのだと。 そんな小さな幸せを噛みしめる。 俺が少しだけ笑顔を見せて頷くと、五人の神姫たちは華やぐように笑ってくれた。 ティアを定位置の胸ポケットに収めて、俺は振り向く。 そこには久住さんと仲間たちがいた。 今回のことでは、久住さんには世話をかけっぱなしだった。 本当に、感謝してもしきれない。 今朝の事件の顛末も、話をしておきたいところだった。 だけどその前に、今すぐに、俺はどうしてもやらなくてはならないことがあった。 「ほんとうは、ゆっくりお礼をしたいんだけど……」 「分かってる。また今度でいいから」 「ありがとう」 「……でも、連絡くれなかったら、承知しないわよ?」 「……肝に銘じておくよ」 いたずらっぽくウィンクなんかした久住さんに、俺はドギマギしてしまった。 同時に、「承知しない」の一言に肝を冷やし、後で絶対に連絡を入れようと固く誓った。 俺はつくづく、久住さんに頭が上がらない。 俺はまだにぎわっているゲームセンターから、みんなに隠れるようにして帰宅の途についた。 高村と雪華との話もそこそこに、久住さんへの報告もそのままに、俺が急いで帰るのには理由がある。 俺がティアのマスターとして、やらねばならないこと。 さっきのティアの言葉で気づかされた。 ティアを本当に俺の神姫にするために、それはきっと必要なことだった。 だから俺は家路を急ぐ。 あたりはもう夕暮れに赤く染まっていた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1002.html
ep01 飛鳥ちゃん誕生 ※このシリースには今後18禁の描写が出てきます 『私』の意識が覚醒する 今まではセットアップ用のプログラムに支配されていたが、それは役目を終え、本当の私が起動する 目の前には20台前半くらいの男の人がいる この人が私のマスター これから長い神姫道を一緒に歩むパートナー …もうちょっとカッコイイ人がよかったな… 等と考えてもしょうがない 私の使命はこの人に勝利を捧げる事 間垣海洋研究所がその技術の総てを結集させて作った私には雑作もない事だ 「…あれ?おかしいな?」 …っと、ちょっと考え事をしすぎたようだ 私は『私として』の初めての言葉を、目の前の人にかける 「おはようございます、マスター」 「あ、動いた。よかったぁ~」 どうやらいらぬ心配をかけてしまったようだ 「それではマスター、私に名前をお与え下さい」 「名前はもう決めてあるんだ。君の名前は『飛鳥』だ」 「アスカ…了解しました。この名に恥じぬよう、マスターに尽くしたいと思います」 「そんなに気張らなくてもいいよ。ウチはマッタリ派だから。あ、勿論バトルしたいってならちゃんとサポートしてあげるよ」 「ご安心下さいマスター。必ずやこの最新型の私がマスターに勝利の栄光をもたらして見せます」 「こら飛鳥、バトルってそんなカンタンなモンじゃないぞ」 「大丈夫です。この飛鳥、セイレーン型の誇りに賭けて必ずや…」 「ちょっとまて飛鳥、今なんつった?」 「はい、大丈夫です、と」 「いやその後」 「セイレーン型の誇りに賭けて…」 その言葉を聞き、バッと私が入っていた箱を掴み、パッケージを見る 「…しまったぁ」 「…何か問題でも?」 この慌てぶり、一体何があったのだろうか? 「いや、大したことじゃない、大したことじゃないんだが…その…スマン」 いきなり私に謝るマスター 「何か不都合でも?」 「いやその…ずっと「鳥型神姫」だと思ってたもんで、鳥っぽい名前付けちゃった…」 「はい?」 「すまん!今までみてた掲示板だと、ずっとエウクランテの事を鳥子って書いてたもんで!」 ちょっとショックを受ける私 「まー許してあげてよ。コウちゃん、良い名前ないかなーって、ずっと考えてたんだから」 不意に別の所から女の子の声が聞こえてきた しかしこの部屋にそれらしき人影は見えない 「あっ、こら美孤、急に出て来るんじゃない」 ひょこん 物陰から現れたのは小さな小さな女の子-神姫であった 「えへへー、あたしの名前は美孤。よろしくね、飛鳥ちゃん。わーい♪可愛い妹が増えた~」 スっと手をのばしてくる彼女 -データベース照合- 彼女はマオチャオ型神姫と判別 フリフリのドレス-メイド服と言ったか-を纏った、ごく普通の神姫のようだ 「飛鳥、でいいです。私も貴方のことをミコと呼びますから」 「ふえ?」 「私はマスターに勝利を捧げる為にここに来たのです。貴方の様な愛玩用神姫とは違うんです」 「こら飛鳥!姉に向かってその暴言はなんだ!」 マスターが怒りの声を上げる 「申し訳ありません、マスター」 私はマスターに謝罪した 「…謝る相手が違うんじゃないか?」 「いいよ、コウちゃん。私は気にしてないから」 ニッコリと微笑みながらマスターを宥める美孤 「…どうしたんですか、ご主人様?」 ヒュゥと軽い音を立てて一体の神姫が飛んできた -データベース照合- アーンヴァル型神姫と判別 標準的な武装を付けた神姫のようだ こちらはバトル用なのだろうか? 「あのマスター、こちらのかたは…?」 「初めまして、私はアーンヴァル型神姫のエアルといいます」 マスターが答えるよりも早く、彼女が答えた 「エアル、さんですね、私は飛鳥といいます。以後宜しくお願いします」 「…なんか随分、美孤の時と態度が違うな…」 「それよりエアルさん、この家のバトルトレーニング施設はどこにあるのでしょうか?」 「あ、えっと…」 チラっとマスターの方を見るエアル マスターははぁーっとため息を付きながら 「しょうがない、エアル、案内してやってくれ」 「解りました。では飛鳥さん、行きましょう」 私はエアルと共に、訓練施設へと向かっていった 「はぁーっ、なんか大変な娘みたいだな」 「でもコウちゃん、素直な子みたいだよ」 「しっかし、お前のことを完全にバカにしてるぞ」 「別に気にしてないよ?」 「ははっ。もしお前の実力を知ったら、さぞかし驚くだろうな」 「うーん、やっぱ少し心配かな。自信があるのは良い事だけど、なんか自分の心に嘘付いてるみたいだから」 「どういうことだ?」 「武装神姫はこうじゃなきゃいけないって思ってるみたい」 「といっても、言って聞きそうもないよなぁ…」 「ふふ…そんな時は、コレで語るんだよ」 そう言って、グッと拳を掲げる美孤であった
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1835.html
無頼16「アオゾラ町神姫センターのご案内」 武装神姫とオーナーが、その実力を試す場所。 または、新しい出会いが待っている場所。 それが神姫センターです。 今回は数多くある神姫センターの一つ、アオゾラ町の神姫センターのご紹介していきましょう。 えっ? 私は誰ですかって? 申し遅れました。私はメンテナンスショップ所属MMS"メィーカー"と申します。 メイとお呼びください。 それでは、始めましょう。 どこにでもある普通の町、それがアオゾラ町です。 そこの駅前に神姫センターがあります。 建物は大きく、3階建てとなっています。 店内に入ると、暖かい日差しがお迎えしてくれます。 1階から3階までを繋げた大ホールです。 夏場はちょっと暑いのが難点です。 1階には神姫ショップとMMS関連店、カフェテラスが入っております。 品揃えは様々で、オリジナル商品も充実しています。 最近は物騒な事件が多いので、警備体制は厳重となっております。 各対戦筺体は2階にございます。 以前はバトルロンドのみでしたが、この前リアルバトル用の大型筺体を導入致しました。 でもそれが原因でショップに来るお客さまが増えてしまい、私としては複雑な心境です。 私の勤め先であるメンテナンスショップも、2階にあります。緊急時にすぐ対応するためです。 3階には事務所や医務室のほか、大きなイベントホールがあります。 小さな映画館くらいの規模があります。 紹介はこれくらいにして、私を通して神姫センターの一日を見てみましょう。 AM7:00 「んっ……ふぅあぁぁぁあっ…」 ちょっとだらしない声を出してしまいました。 私は非番だったので、ずっと寝ていました。 センターの開店は9時からなので、充分間に合う時間です。 AM8:30 せっせと開店準備を急いでいます。 今日は私がカウンターに立つシフトですので、ちょっと慌てています。 専用器具…オールグリーン、身体機能…異状なし。 これで完璧です! 「メイ、頭がひどいわよ」 「えっ? ああっ!?」 お恥ずかしいながら、私は寝ぞうが悪いです。 そのせいで髪の毛がくしゃくしゃになっていました。 手櫛で梳かして、今度こそ完璧です。 AM10:21 早くもけが人多数、ひどい話です。 腕が片方吹き飛んだストラーフがやってきました。 なんでも「高馬力タイプと戦ってて武装もろとも引きちぎられた」そうです。 「いやぁ、いつもいつも世話になっちゃってゴメンね」 「しょうがないですよ。"戦いたい"と言うのは神姫の本能みたいなものなんですから」 とは言っても、これは酷いです。破損箇所が中枢部付近までに及んでいます。 今の患者さんは、胸部付近の外装をすべて取り外して修理を行っています。 それでどのくらい酷いかを理解してもらいたいです。 「これでよし。腕を動かしてみてください」 「よっと…」 関節部のアクチュエータやケーブルが、音を立てずに動き出します。 稼働チェック、問題なし…と。 「問題なし、あと5分待って下さいね」 これが、私たちの通常業務です。 AM11:12 どうゆう訳かは判りませんが、長瀬さんに落ち着きがありません。 「どうなされましたか?」 「いや、ただ単にそわそわしてるだけさ」 絶対に嘘です。 その証拠にラスターさんがいません。 「"また"ですか?」 「…そうだ。"また"だ」 長瀬さんという人物は、他の人は騙せても神姫をだますのが苦手のようです。 だからセンター職員では私だけが知っている、長瀬さんの"裏"を。 「すまんな。いらん心配をさせて」 「このくらい解らなくて、医者が勤まるものですか」 PM1:09 ラスターさんが帰ってきました。 左の主翼が吹き飛んだ状態で 「不覚にも…逃げられてしまいました」 「そんな事はどうでもいい。さっさと翼を分離(パージ)しろ」 言われてラスターさんは、気を落とした顔で翼を切り離しました。 「酷いですね、高火力タイプにでもやられたんですか?」 「ああ。なかなか手ごわい相手なんだ。今回は」 ふと、黙っていたジュラさんが口を開きました。 「せっかくだから吹き飛んだ方の翼を赤くしようよ」 それはいつのゲームの話ですか? 「やっぱ Camoooooooon!! は付きものよね」 「止めてくださいジュラ。…今度、撃ち落としますよ?」 「うへっ、PJだけは勘弁!」 PM3:53 彩聞さんがやってきました。 「こんちわ、メイ」 「こんにちは」 ヒカルさんといつも通りのやり取りをしていると、彩聞さんが長瀬さんと何か話しています。 何か改造の話みたいですが…。 「ふむ…。なら、エルゴに行ってみるかい?」 「エルゴ?」 どうやら、彩聞さんは今度ホビーショップ・エルゴに行かれるようですね。 何故エルゴを知ってるかって? "休暇"の時に連れて行ってもらってるのです、長瀬さんに。 このショップ所属のMMSは、誰かしら職員がオーナーとなってます。 今のところ、長瀬さん受け持ちのMMS(こ)は私だけです。 だから、「こう言う事」も知っています。 PM4:33 急患が運ばれてきました。 下半身が粉々になっており、あちこちに亀裂が生じています。 店先で乗用車に轢かれたとのことです。 「メィーカー! お前が執刀しろ」 「わかりました」 言い忘れていましたが、MMSの直接的な修理は私たちの仕事です。 人間の職員はサポートに回っています。 "モチはモチ屋"、という事でしょうか。 「非常事態ですので、がまんしてくださいね」 そう言って、胸部外装を補助アームでむりやり剥がしました。 防音処理された室内に絶叫が響き渡りますが、もう慣れっこです。 むき出しになった動力部に手早くケーブルを接続し、動力を確保。これでひとまず安心です。 「ひぐっ…えぐっ…わたし死んじゃうの…?」 「下半身が無くなったくらいで取り乱さないでください。今は大丈夫ですから」 不安をかきたてる言葉ですが、こういうのは正しく現状を言うのにかぎります。 ちぎれて使い物にならなくなった配線や導管をはずしていきます。 それと同時に、新しい下半身も準備します。 今の私はジェネシスのように、4つの補助アームが背中に装着されています。 私のような専門職はコストがかかるので、そうそう数を増やせるものではありません。 だからなるべく一人で何でもできるような設計が要求される訳です。 ちなみにこのセンターには私を含め、この規模の修理を行えるMMSはわずか4人しかいません。 世の中お金が大事ですねぇ…。 …… PM5:13 「ふぅ…」 術式終わり…。 ボディの最終調整は他の人や職員に任せて、私は一休みです。 緊急を要する状態だったのでそのまま修理を始めてしまい、私の体も服もオイルまみれです。 「んっ…ふぅ…」 もう…汚れた服はさっさと脱ぎすてて、シャワーでも浴びちゃいましょうか。 関係ないですけど、私ってけっこうスタイルいいんですよ? 「相変わらずいい体してるなァ。いや、純粋に」 「うみゃっ!?」 後ろを振り返ると、長瀬さんがこちらを見下ろしていました。もう…この人は…。 「MMSばかり見てるから、彼女が出来ないんですよ?」 「そう言うな。…なんなら、お前が彼女になってくれるかい?」 「ふふ。ラスターさんにの耳に入ったら、またフルボッコにされますよ?」 まあ、こんな所も長瀬さんらしいんですけどね。 PM7:59 今日はバッテリーの消費量がハンパないですね…、バッテリーの寿命かしら。 気がどこか遠くにいきそうです…ふぁぁ…。 「メイ、どうしたの?」 「いや、なんでもないです。急速充電してきますからカウンターの方お願いします」 そう言って、裏の職員用スペースに走りました。 「メイったら最近燃費悪いわね…、バッテリーが原因かなぁ」 PM8:24 あれ…おかしいな。 充電したのにゲージが低い…。 「まさか、漏電してる!?」 その証拠に髪が静電気で逆立ってます、これでは精密機器に触れません!! 「メイ、やっぱりバッテリーが…」 「そうみたい…、でも今は誰も居ないし…」 嗚呼不覚です! こんな事に気付かないなんてッ!! 「まったく…、こんな事になってるだろうと思ったよ」 唐突に長瀬さんが入ってきました。食事に行ってたのでは? 「お前が着替えていた時、時季外れの静電気が起きたのを見たんでな。気になって戻ってきた」 あいかわらず凄い観察眼ですね。 「おかげで夕食食う暇がありゃしない。…ほら、処置室に行くぞ。バッテリー交換してやる」 「え、でもカウンターが…」 「接客くらいラスターとジュラで出来る、それよりも高価なお前が故障したら修理費が大変だからな」 本音にまぎれて、どこか優しさを感じる言葉です。 少なくとも、私はそう感じます。 「ラスター、ジュラ。頼んだぞ」 「オッケー祁音」 「ほら、こう言う時はキャプテン…マスターに甘えるべきですよ」 ラスターさんがどこかもの足りないような表情をしましたが、それは気のせいではないでしょう。 ……… …… … 結局、そのまま私はメンテナンスモードのまま朝を迎えてしまいました。 センターの閉店は午後10時となっていますが、メンテナンスショップは急を要する神姫(こ)たちの為に24時間体制で開いています。 今回はトラブルにつき最後まで紹介できなくて申し訳ありません…。 でもこれをきっかけに、神姫のオーナーがより増える事を心より願っています。 命は人も神姫も同じ、尊いものですから。 それでは、またお会いしましょう。 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2444.html
与太話5 : 参上! 正義の戦乙女!! 「この手が望むは強敵との勝負!」 鉛色のコートが虚空に靡く。 「C・S・Cに誓うは主の勝利!」 輝く双剣が映し出す絶対的な修道女の影。 「阻む黒雲切り開き、勝利を掴む古の血統ッ!」 機械仕掛けの脚が鉄の運命を踏み砕く。 「正義の戦乙女――」 見開かれた双眸が蒼き炎を灯した。 「エル参 「遊んでないで真面目にやってよエル姉!」 コタマが操るホイホイさん、巨大なガントレットを両腕に付けた【ファースト】の攻撃範囲から逃れ下がってきたメルに名乗りを遮られ、エルはプクゥと頬を膨らませた。 「せっかく徹夜で覚えたんですから邪魔しないで下さい!」 「徹夜!? そんなことする暇があったらコタマ姉の対策の一つでも考えてよ!」 言いつつ、メルは決めポーズのままつっ立っていたエルを抱えビルの影に飛び込んだ。直後、二人がいた場所を二発の弾丸が、空気を貫くようなゾッとする音を残して通過した。 「少し漫画で目立ったくらいで図に乗ってんなよコラァ!」 続け様、コタマはもう一体のホイホイさん【セカンド】に二人が身を隠した壁面を撃たせた。神姫の身長より長い大型対物ライフルで壁を粉砕できるとはいえ、この銃撃はエルとメルを狙ったわけではない。威嚇のつもりもなく、ただ、コタマは腹を立てていた。 エルが徹夜で読んでいた漫画をコタマも読み終えていた。漫画の中で目立ちに目立ったアルトレーネとは対称的に、ライト級神姫は小動物二匹がたった1ページ登場しただけだった。ハーモニーグレイスは前巻でオマケのような扱いだった。 コタマはライトアーマーという格付けそのものに不満を持っているわけではなかった。自身、ファーストとセカンドを除けば、装備品は姫乃お手製の修道服と糸を伸ばした二つの十字架だけである。 だがその扱いが許せなかった。漫画の中でライト級神姫達がまるで幼稚園児のように描かれていることが許せなかった。いや、百歩譲って小動物系はいい。コタマとは何の関係もない。だがハーモニーグレイスがそいつらと同じレベルで争っているのはどういうことか。小動物にシールを奪われ「その金ピカネコは私が狙ってたのにー!」とべそをかくハーモニーグレイスを見てコタマは漫画をゴミ箱へ捨てようとして、鉄子と喧嘩になった。作者へ苦情メールも送った。 そして第三巻が発売されたのが昨日のこと。再び漫画をゴミ箱へ投げ捨てようとして再び鉄子と喧嘩になり、苦情メールを数回送っても収まらない憤りをバトルにぶつけようと、エルメル姉妹からの挑戦を二つ返事で受けた。 「出てこいエル、メル! 来ねぇのなからこっちから行くぞ!」 故に、カバー折り返しに実写で掲載されるという破格の待遇を受けたアルトレーネを生で見て、憤りが収まるどころかより膨らんでいったのは詮ないことだった。 「やけに機嫌悪くないか、今日のコタマ」 貞方とタッグを組むという不愉快を極めた申し出だったが、エルとメルにああも真剣に頼まれては断り切れなかった。昨日発売された武装神姫の漫画を読んだエルとメルは漫画の後半で活躍した戦乙女型を見て「私(ボク)達はもっとやれるんじゃないか」と何の根拠も無い自信を持ったらしい。一人では無理でも、二人が力を合わせればドールマスターすら打倒し得る、と。 俺の隣で腕を組んでいる貞方はジッと筐体の中を見ている。 「背比、お前竹櫛さんと同じ弓道部ならコタマの弱点とか知らないのか」 「弱点? あー……そういえば」 「なんだ?」 「コタマってやたらとスマッシュ攻撃を使うんだよな。投げ技も一切使ってこないし、動きを読みやすい」 「スマブラの話じゃねぇよ! 神姫と何の関係あんだよアホが!」 「お前にアホとか言われたくねぇよクソが! じゃあお前がなんか考えろよ!」 放っておいてもバトルの状況は刻一刻と変わっていく。十数階建てビルの中へ逃げ込んだエルとメルを追って、コタマも壁を破って飛び込んでいった。 中の様子は別モニターに映し出される。ビルの内部は会社を模しているのだろうか、人が誰もいないことを除けば実在する事務所のようだった。狭いフロアに机や棚などの物が置かれている。人形二体を連れたコタマにとっては戦い難い場所だろう。 ビルの六階までコタマが上がってきたところで、エルとメルは勝負に出た。ファーストがガントレットでドアをブチ破りコタマが事務所の入口を跨いだ瞬間、エルがコタマの正面から、メルは背後から襲いかかった。ファーストとセカンドは壁を挟んで分かれ、コタマは両側の壁に阻まれ糸を自由に操れない。 待ち構えていたエルは最高速度で突進した。息を潜めていたメルはスカートの下から全武装を解放した。 だが、甘かった。 「うおっ!?」 ビルの側面の窓ガラスを突き破ってエルが飛び出してきた。反対側からメルも同じように出てきた。二人とも自発的にビルから離脱したのではない。そうでなければ、六階から落ちて受身すら取れず路上に叩きつけられるはずがない。 エルが割った窓からコタマが顔を覗かせ、ファーストとセカンドを連れて飛び降りた。 「おい貞方、今何があった?」 「知らん。状況からして、反撃されたのは確かだろうがな」 モニターには確かに、コタマを挟み撃ちにするエルとメルが映っていた。だが二人は直後にモニターから姿を消し、ビルの側面から現れた。 よろけながらもなんとか立ち上がるエルの前に、コタマは着地した。少し遅れてファーストとセカンドも降りてくる。AIを積んでいないはずの二体が何故綺麗に着地できるのかは、コタマにしか分からない。 「よォ大人気なアルトレーネ様。苦しんでるとこ悪いんだけどよ、さっきの名乗り、もう一回聞かせてくれよ」 メルはビルを挟んだ向こう側にいる。援護は期待できないが、一人で戦ってどうにかなる相手ではない。エルは剣と脚のパーツで路面を蹴り、コタマから離脱した。 「いいぞ逃げろエル! そのままメルと合――!」 しかし、エルの速度をもってしても、逃げることすら叶わなかった。 「『44ファントム』」 いつ見てもこの技は瞬間移動としか思えない。全速力で離れるエルの懐に一瞬で飛び込んだファーストは、咄嗟の剣による防御をものともせずガントレットを打ち込んだ。 自分の速度にさらなる加速を与えられたエルは、道路を飛び越え別のビル側面に叩きつけられ、力無く崩れ落ちた。 「エルっ!?」 「今だメル、本体を叩け!」 貞方のヤロウ、エルを囮にしやがった。だがファーストが未だエルへの攻撃の流れに乗って離れている今を逃せば勝ち目を完全に失ってしまう。業腹ものだが仕方がない。 ビルを回りこむのではなく中を真直ぐ突っ切ってきたメルは飛び出すなり、ありったけの武装を放った。次のチャンスが無いのなら、この瞬間で勝負を決めるしかない。 伸ばしたスカートとワイヤーがコタマへ届く直前、セカンドが持つライフルの銃身が間に割り込んだ。 「くっ!?」 「おっと危ねぇ。今のはワイアット・アープでも命取られてただろうぜ」 ワイヤーが巻きつきスカートに挟まれた銃身でそのまま、セカンドはメルを薙ぎ払った。ライフルの銃口がメルへと向けられる。 「じゃあな戦乙女。オマエらは先輩神姫への敬意が足りねぇんだよ」 後から聞いた話だと、メルはこの時「ハーモニーグレイスだってそんなに古くないじゃん」と呟いたらしい。 バトルを終えて、竹さん、貞方と三人でマクドナルドへ立ち寄った。テーブルの上では三人の神姫が例の漫画のことであれこれと議論している。先のバトルのことを持ち出さないのは良いことなのか悪いことなのか。 「そういや貞方、ハナコは?」 このところ大学でもあの健気なわんこ型神姫を見ていない。 「精密検査でメーカーに送ってある。昨日連絡があって、まだ時間がかかるらしい」 「ふうん、検査ってそんな時間かかるもんなん。コタマもいっぺん検査に出そうかね、ウルサイのが払えて丁度いいかもしれん」 竹さんはフライドポテトを一本ずつ減らしていった。ちまちまと妙に女の子らしく(いや女の子だけど)ポテトをかじるその姿はトップクラスの神姫オーナーには見えなかった。 「竹櫛さん、コタマが使うホイホイさんの……」 「ファーストとセカンド?」 「ちょっと見せてくれないか」 いいよ、と竹さんは気軽にトートバッグからハンカチにくるまれた二体を取り出した。今まで無造作にバッグの中に入れていたらしい。益々竹さんのオーナーっぷりを疑ってしまう。俺もエルの装備を筆箱に入れてるから他所様のことを言えたもんじゃないけど。 ちなみに貞方は専用アタッシュケースを持っている。クソブルジョワめ、先物取引に手を出して一日で破産しろ。 見せてもらったホイホイさんは、ごく普通のホイホイさんだった。ファーストは腕をガントレットに取り替えられているだけ、セカンドはもうそのまま害虫退治ができそうだった。 でも、この二体はバッテリーこそ積んでいるもののAIを搭載していない。動きはすべてコタマの糸で操られている。 「竹さん、コタマはどうやってこのホイホイさん動かしてんの?」 恐らくドールマスターを知る誰もが知りたい秘密だろう。思い切って聞いてみた。 でも質問が直接的すぎだろうか。貞方が「(お前、もう少し遠回しに聞けよ)」と目で言ってきた。でも竹さんはさして気にした風もなく、というより、 「さあ、分からん」 分からないらしかった。 「分からんって、竹櫛さんが用意したんだろ?」 「いーや、うちの兄貴に全部任せとるよ。メンテとかも」 「……そうか」 貞方がなぜか落ち込んでいる。きっと阿呆なりに思うところがあるんだろう。 哀れんでやろうとすると、ぎゃあぎゃあ騒いでいたエルに呼びかけられた。 「マスターマスター! やっぱりアルトレーネが一番だっきゃん!? にゃにするんですか鼻を打ちました!」 俺の元へ寄って来ようとしたエルの足を掴んで倒したコタマは、そのまま4の字固めを決めようとした。エルは鼻を押さえながらもそれに必死に抵抗している。 「オマエ今まで何聞いてたんだ! ハーモニーグレイスを差し置ける神姫なんていねぇっつってんだろ!」 「そんなわけありまっせん! どの神姫も平等なんです!」 「言ってることメチャクチャじゃねえか!」 「コタマ姉さんに言われたくありません!」 「二人はいいじゃない、漫画に出られたんだし……ボクなんて……」 小さな仲良し三人は俺達が店を出ると言うまで、俺達の意見を右から左へ受け流して自分の型の優位を主張し続けた。 オルフェ♡ カッコいいっス! 流石っす!! そう、今までの【武装神姫2036】は楽しくも、何かが足りませんでした。 その何かとはアルトレーネのことだったのです! ああ、オルフェのさらなる活躍を目にするのはいつになることやら…… 第四巻を楽しみに待ちましょう。 Wikiだと文の前に空白を置けないんですね。 知りませんでした。 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/825.html
『"NOTRE-DAME" MARIE DE LA LUNE vs "ZYRDARYA" LALE SAITO』 仮想バトルフィールド上空に、文字が映し出された。 そしてその文字の横に数字が現れてバトルの開始時間をカウントダウンし始める。 「えっと、とりあえず、何したらいいのかな?」 私は目の前のクレードルで眠るマリーに聞いた。彼女の意識は今、筐体の中の電脳空間にいるのだけど、不思議なことに返事は現実の、クレードルの中のマリーから帰ってくる。 「まずはウォードレスを展開させてくださいませ。そうすればあとは私が美しく戦ってみせますわ」 「そっか。頑張ってね、マリー」 「はいっ」 マリーは目を閉じたままにっこりと笑った。 カウントダウンは最後の十秒を切る。電子音と一緒に数字はどんどん小さくなっていった。 開始三秒前、上空の文字は『READY』に変わる。 「いきますわ、のどか様」 私は軽く頷く。そして数字はゼロを示した。 「マリー、ウォードレス展開!」 そう言うと、マリーのドレスの裾のディティールが伸びて、前面ののこぎりのような形をした二本が、自由に動くライトセーバーのように、その他は小さな砲身を現して追撃用の機関砲になった。マリーはかなり可愛いものを選んだと思っていたけど、実際に展開したものを見ると意外とかっこいいものだ。 同時に相手は右手のポーレンホーミングを放つ。ハンドガンだというのにその弾は弧を描いて一つ一つがマリーを追う。その間にラーレはマリーとの間合いを詰めた。 マリーは飛びながらポーレンホーミングの弾を避けようとした。けれども高い誘導性能を誇るその弾は進行方向を百八十度変えてなおマリーを追った。そこへ猛スピードで間合いを詰めながら剣を構えるラーレがマリーの視界に入る。 「速いですわ」 関心しつつもマリーはウォードレスの機関砲をホーミングの弾へと向けて放った。そして両手で傘を持ち、ラーレの剣を受け止める構えを取った。 機関砲から発せられた弾幕は見事にポーレンホーミングを全て打ち落とし、とりあえずマリーは背後からの脅威から解放された。しかし次の瞬間、甲高い金属音と共にマリーとラーレは初めてお互いを至近距離で認識し合う。 「いいドレスですね」 鍔迫り合いをしながらラーレが言う。 「ありがとうございます。あなたのその銃も面白いですわ」 マリーがそう言い返すとラーレは不敵に笑った。 ††† カトー模型店の扉が開き、男が一人、入る。 「こんにちは、カトーさん。なんか盛り上がってますね」 「やあ、時裕君。今ね、のどかちゃんが戦ってるんだよ」 「あいつが?へえ、相手は?」 「斎藤香子ちゃん」 「...うちの妹に嫌がらせですか」 「いやいや、丁度女の子同士でいいと思って」 「のどかに香子ちゃんは倒せないでしょう。だって彼女は」 「それが結構頑張ってるんだよ、のどかちゃん」 「まだ香子ちゃんが手加減してるんじゃないですか?」 「そうだね...まだ"チューリップ"を使ってないところを見ると...」 「この店のオリジナルウェポンをあそこまで使いこなせるのは彼女だけですよ」 「うれしいことだねえ」 「ああ、哀れかな我が妹よ」 「君は本当にのどかちゃんのことが好きなんだな」 「そりゃあもう。アーニャの次に」 二人の男は再び視線を筐体に戻す。 ††† 数回、斬りあった後、ラーレはうしろに退いて、広めの間合いをとった。そしてまたポーレンホーミングを打つと、今度は腰から先にチューリップを模した飾りをつけた棒を取り出す。マリーは打撃系、もしくは投擲系の武装だと思って、傘をソードモードからライフルモードに構え直した。先のような急速接近で瞬時に懐まで迫らせないようにするためだ。 ポーレンホーミングから放たれた高誘導弾は例のごとくマリーのドレスに打ち落とされる。恐らくラーレはポーレンホーミングを決定力のある装備ではなく、間合いを取ったり、対戦相手を自分の思う場所に誘導するための補助的な装備であると考えているだろう。 手に持った棒を、ラーレは器用に片手でクルクルと回す。ジルダリアのスレンダーな体型も味方して、その姿はバトン競技のトッププロのようだ。 「今日が初めてのバトルのあなたに、こんな仕打ちはひどいかもしれませんが...マスターの記録を更新するために、全力で勝たせていただきます」 「光栄ですわ」 そう言ってラーレは回すのを止めた。そしてユピテルが雷を放つように、その棒をマリーに向かって投げた。 「ジャベリンですわね」 マリーは当然のようにそれを避けようとしたが、その前に飛んでいる棒の先のチューリップが開き、そこからさらに何かが発せられる。霧のようなそれは僅かにマリーの足に付着した。 乾いた音をたてて棒は着地した。その様子を見届けてラーレはまた手に剣を握る。 「さっきのは一体なんなんですの?」 「すぐにわかります」 二体の神姫は再び剣による近接格闘戦を始めた。マリーは傘で攻撃しつつも、ドレスで細かく間合いを取り、ラーレも主となる攻撃は剣であるものの、ポーレンホーミングを巧く使い見事に隙を埋める。単純な斬り合いのように見えるが、実際は双方が一瞬の隙を伺い合う頭脳戦であった。 しかしそれがしばらく続いたあと、マリーは異変に気づいた。足の動きがだんだんと鈍くなっていったのだ。sそれもさっきの霧のようなものが付着したあたりから。 「これは...?」 「効いてきたようですね。あの杖――トライアンフは麻痺性の液体を高圧噴射するものです。こっちのフレグランスキラーと違ってあの杖は遅効性。ゆっくりと、気づかないうちに機能を停止させるのです」 ラーレが説明する間も、非常に遅いスピードで、しかし確実にマリーの足は動きを遅くしていった。 『マリー!大丈夫!?』 「大丈夫ですから、のどか様は今と同じ指令を続けてください」 『左だよっ、マリー!』 気がつかないうちに、気づけない間にラーレが放った最後のポーレンホーミングの弾がすぐそこまでマリーに迫る。咄嗟にドレスの機関砲を向けたが、間に合わなかった。七発中の二発がマリーに直撃し、マリーの体が飛ぶ。胸元の赤いリボン状のディティールが煤けた。 「んっ...」 初めてマリーが苦痛の声を上げた。 『ねえ、もう止めようよ!もう少し強い装備にしてからまたやればいいからっ!』 「それは...ダメですわ...」 『マリー...』 「わたくしは人形型武装神姫。この姿で勝てるようにならなければ意味がないのですわ!」 マリーは再び立ち上がった。足はすでにただ体重を支えるだけの棒となっていたがなんとかバランスをとって傘を構える。 「...次が最後ですね」 ラーレが言う。彼女もまた剣を構えた。 その数秒後、ラーレが風を斬る。 ――ほんの刹那の後、ラーレの剣の切っ先はマリーの首筋に迫っていた。 ††† 「えっ?神姫バトルを始めてからずっと無敗だった!?」 香子ちゃんは静かに頷いて、彼女の肌理細やかで白い頬がうっすらと桃色に染まる。私はそんな仰天事実に開いた口が塞がらなかった。 「カトーさんの勧めで始めたんですけど...」 「そう。一戦目からずっと負けなし、四十七戦連勝。この店のオリジナルウェポン"チューリップ"を使いこなす戦い方は毒を持つ可憐な花そのもの。いつしか『プリンセス・オブ・ワイトドリーム』の通り名で呼ばれるようになった俺たちのアイドルだ!」 私と香子ちゃんはその声の主のほうへ顔を向けた。いや、私はその声が誰のものかわかっていたのだけれど、あまりのバカっぷりに向きたくなくても向いてしまったのだ。まわりで同調してる男の子たちもちょっとアレな感じだけど、こんなバカなことを堂々と言えるのはお兄ちゃんだけだろう。 「いつからいたの?」 「お前が負けそうになってたころから」 お兄ちゃんの肩に乗ったアーニャがお辞儀をした。 「あ、あの...のどかさんと時裕さんってお知り合いなんですか?」 香子ちゃんは私とお兄ちゃんの顔を交互に見て言う。その様子が少しおどおどとしていて、私は不思議に思った。 「うん、知り合い、兄妹。ていうか、香子ちゃんがお兄ちゃんの名前知ってるほうがびっくりだよ」 「そりゃお前、俺は香子ちゃんファンクラブ(ナイツ・オブ・ワイトドリーム)の会員ナンバー一番だからな。当然だろ」 「よかった...」 『よかった』...?えーと、この何気ない彼女の言葉からとてつもなく危険な香りがする。 それだけはダメな気がする。なんというか、香子ちゃんの将来的に。 とりあえずお兄ちゃんのほうに警告しておこう。 「ダメだよっ!妹と同級生の娘に手を出すなんて、大人として!」 私はお兄ちゃんの耳元で小さく言った。お兄ちゃんは何のことだ、という顔をしたのでそれ以上は何も言わなかった。 「しかし、俺は悲しいぞ、妹よ。そんな我らのアイドルをあんなふうに倒してしまうなんて。お前は香子ちゃんが可哀想だと思わんのか」 「いえ、負けは負けですし、私も調子に乗ってたんです。それにマリーさんはとっても強かったです」 香子ちゃんの制服のポケットからラーレが顔を出してそう言った。 ††† ――確かにラーレの剣の切っ先はマリーの喉に迫ろうとしていた。 しかしそれはあくまで迫ろうとしていたのである。 数ミリ手元を動かせば切っ先は間違いなく突き刺さる位置ではあったが、ラーレはそれ以上動けなかった。彼女の腹にはマリーの傘の先がピッタリと、一ミリの隙間もなく触れて、さらに両脇を、二本のクワガタの角のようなウォードレスの武装が挟み込んでいたからだった。 「少し、手元がブレましたわね」 マリーが言った。 ††† 「人形は少しも狂いのない精密な造りであって初めて、価値があるのですわ」 マリーが私の頭の上をふわふわと浮きながら得意気にそう答えた。 「うむ、素晴らしい。それでこそ人形型武装神姫ノートルダムだな」 「細かい設定と調整はみんなお兄ちゃんでしょ」 「だから素晴らしいって言ったんだ」 私は深くため息を吐いた。お兄ちゃんの無駄に自信満々な言葉に呆れたのもあるけれど、それをキラキラと輝く目で見つめる香子ちゃんにもちょっと呆れたからだ。 「さて、のどかちゃん、マリーちゃん。どうだった初めてのバトル、しかも勝利の味は?」 カトーさんが私たちにそう尋ねた。 私はマリーの顔を覗く。彼女もまた私のほうに顔を向けた。 「楽しかったですわ」 「そうだね、楽しかった」 それはよかった、とカトーさんは笑った。 「香子ちゃん、今度またバトルしようね」 「ええ。次は負けませんよ」 作品トップ | 前半
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2127.html
ウサギのナミダ ACT 1-14 ■ 雨の街は、いつもとその様相を一変させていた。 あれほどに鮮やかだった風景は、色を失い、輪郭さえもぼやけている。 すべて水に濡れ、色褪せて見えた。 まるで、かつてわたしがいた場所のように、灰色の世界。 雨に追われ、人々は足早に過ぎ去っていく。 足下の神姫になど注意を払う人はいなかった。 降りしきる雨は、痛いほどにわたしを叩き、瞳からこぼれる涙さえも、洗い流されてゆく。 これは、あの空の涙なのだろうか。 空にも心があって、悲しくて辛いことがあるのだろうか。 上空を垂れ込める雲に、心を灰色に塗りつぶされて、涙をこぼすのだろうか。 今のわたしと同じように。 わたしはもう、悲しいとか辛いとか、そういう感情を通り越して、ただ、ぼうっとしていた。 瞳から流れる涙だけが止まらない。 だから、きっと、悲しいのだろう。 悲しすぎるのだろう。 だけど、その涙さえ、雨に混じってしまい、わからなくなる。 わたしはもう、泣くことさえも許されてはいないのだと思った。 わたしは、あの後、PCのワープロソフトを起動して置き手紙を残すと、マスターの家を出た。 お風呂場の窓は換気のために開けてあることは知っていたので、出るのは容易だった。 ……こんなときばかり、トリックはうまく行く。 衝動的に出てきてしまったけれど、行く当てなんてなかった。 はじめは、お店に戻ろうかと思った。 でも、お店の場所をよく知らない。 マスターのところに来るまで、お店を一歩も出たことがないのだから、当然だった。 それに、もう帰る気になれなかった。 お店に帰れば、またお客さんに奉仕する日々に戻るのだ。 それ以外の世界を知ってしまったわたしは、お店が神姫にとって地獄のような場所だと知ってしまった。 もう、戻りたくはなかった。戻れなかった。 あの、わたしを連れだしたお客さんのところはどうだろう。 ……結局は同じことだ。いや、お店にいるときよりもっとひどい仕打ちを受けるかも知れない。 そこには行きたくない。 ……わたしは、なんとわがままなのだろう。 マスターを自らの手で汚しておきながら、もう自分が汚れるのは嫌なのだ。 こんな神姫が一緒では、マスターが不幸になるのも当然だった。 いや、元から誰かの武装神姫になる資格なんてなかったんだ。 なんという身の程知らず。 取り返しがつかなくなって、やっと思い知るなんて。 もうこれ以上、マスターを汚すわけにはいかなかった。 だから、わたしは姿を消すことにした。 そう、このまま消えてしまおう。 この世から。 ふと見上げると、駅前の歩道橋が目に入る。 わたしはのろのろと、その歩道橋の上へと向かう。 □ 俺は走っていた。 雨の中をひたすらに、走っていた。 足下に注意を向けながら。 ティアを探す。 ティアがうちを出て行く先の心当たりなど、そう多くはない。 まして神姫の身であれば、そう遠くへ行ってはいないはずだ。 俺とティアがゲームセンターに次いで多く行った場所。 あの大きな公園だ。 俺は公園へと向かっていた。 この雨だというのに、傘も差していないから、全身ずぶぬれだった。 足が地面を着くたびに、がぽがぽと水が貯まった靴が音を立てる。 それでも、そんなことはかまっていられなかった。 雨の公園には人っ子一人いなかった。 遊歩道を取り巻く木々の緑も、今日ばかりは色褪せて見える。 動くものとてない静寂の中、静かな雨音だけが広大な空間を支配していた。 「……ティア!」 その静謐を破り、俺は何度も呼びかける。 遊歩道を何度もまわる。 しかし、ティアの姿を見つけることは出来ない。 ベンチの前で、俺は立ち止まった。 散歩に来て、ティアを走らせているときに、俺が座っている、いつものベンチ。 ここにもティアの姿はない。 晴れた日の情景が心に浮かんでくる。 ティアは朝の澄んだ空気の中を駆け抜ける。 ぐるりと遊歩道を周回してくると、トリックを決めて、ベンチの上に着地する。 そして、俺を見上げる。 嬉しそうに、少し恥ずかしそうに、笑うのだ。 「……なんでだっ!!」 俺は地面に膝を着き、ベンチの上にうなだれた。 なんでだ。 なんで「さようなら」なんだ。 なんで俺の前からいなくなるんだ。 なんで、なんで、なんでなんでなんでなんで!!! 「……ティア……」 神姫の名を呟く。 迷惑だなんて。 お前が側にいてくれれば、そんなものは気にするほどのことでもないのに。 お前以外に、俺が自分のパートナーにしたい神姫なんていないのに。 他のどんな神姫も、お前の代わりになどならないんだ。 やっと出会えた俺の神姫なんだ。 だから。 俺にどんな迷惑かけてもいいから。 側にいてくれ、ティア……。 ◆ 久住菜々子はゲームセンターの壁によりかかり、見るともなしに、バトルロンドの観戦をしていた。 腕を組み、やぶ睨みで、大型ディスプレイに鋭い視線を投げつけている。 いつものような親しみやすさとはかけ離れた緊張感が全身から漲っている。 宣戦布告から一日。 菜々子を待っていたのは「無視」という仕打ちだった。 エトランゼはティアを擁護すると知り、神姫プレイヤーは皆敵に回った。 しかし、面と向かって文句は言ってこない。いや、言えないのだろう。 なにしろ三強を三分かからずに倒してのけたのだから。 実力でかなわない相手に対し、示した態度は、徹底した無視だった。 まるでそこに存在しないかのように。 挨拶しても、話しかけても、振り向きさえしない。 常連の誰に話しかけても、そんな態度だった。 もちろん対戦は誰も乱入してこないし、こっちが乱入したら、一瞬でサレンダーされた。 すでに常連の間では、エトランゼに対してそういう態度をとることで話が通っているのかも知れない。 これで菜々子がゲーセンを出ていけばよかったのだろうが、彼女はかえって意地になった。 壁に張り付き、無言のプレッシャーを与え続けている。 これでは気になって仕方がない。 しかし、今日は週末で、ランキングバトルの開催日だ。常連達は帰るわけにも行かず、菜々子からの妙なプレッシャーに耐え続けなければならなかった。 「菜々子ちゃん……」 「ああ、大城くん……」 声をかけてくるのは大城だけだった。 大城は心配そうだ。 見かけによらず、人が良いのだろう。 「いいの? ランバト、始まるわよ」 「うん、まあ……でもよ、菜々子ちゃんも……ここにいないほうがいいんじゃねぇか? だったらさ……」 「だめ。遠野くんとティアを待っているから。この店からは動けない」 「でもよぅ……」 無視されている菜々子を気遣って声をかけてきてくれていることはわかっているし、ありがたい。 逆に言えば、大城以外の誰も、菜々子の味方はいないのだ。 だが、彼とてずっと菜々子と話していれば立場が悪くなる。 大城と虎実はランバトに参戦している。 常連達との関係を悪くしたくはないだろう。 「……ひとりくらいは」 「え?」 「他に一人くらいは、わたしに賛成してくれる人、いると思ったんだけどな……」 自嘲気味に笑う。 つい本音が出てしまった。 本当は、菜々子は心細かった。 大見栄切ってみたものの、味方をするべき本人達はいまや嘲笑の的であり、ゲームセンターにもやってこない。 孤立無援の戦いは始まったばかりだったが、こうあからさまに無視されると、菜々子の心の方が折れそうだった。 自分達こそ正しいはずなのに、どうしてこんなにもつらいのだろう。 菜々子は下唇を噛んだ。 一瞬、沈黙が降りた。 ゲームセンターの喧噪が耳を震わせる。 と、近くで、電子音が鳴った。 携帯電話だ。 目の前の大城が、ポケットから携帯電話を取り出す。 シンプルな機種だが、ストラップにアクセサリーがジャラジャラとついている。 「遠野からだ……もしもし、大城だけど」 菜々子は一瞬、息を飲んだ。 「……おい、大丈夫か? あ、いや、声が……ああ、いいぜ。気にすんな」 今度は大城が息を飲んだ。 「……ティアがいなくなった、だ!?」 その場にいた二人と、二人の神姫が同時に息を飲んだ。 「……で、心当たりは……ああ、うん、駅? そうか……ああ、わかった。わかったから、こっちはまかせろ。 気にすんな。お前はそっちの心当たりを探せよ。 わかった、連絡する。じゃあな」 携帯電話を切ると、厳しい顔で菜々子を見た。 「ティアがいなくなった。遠野が必死で探してる」 「そんな……」 「あいつ、聞いたこともないような……泣きそうな声で……くそっ!!」 大城は店のスタッフのところに行くと、手短にランバトの参加キャンセルを伝えて、そのまま店の出口へと急ぐ。 「待って、大城くん! わたしも行く!」 菜々子は反射的に答えていた。 が、大城は振り向いて、 「菜々子ちゃんは待っていてくれ。 もしティアがここに来て、井山と会ったりしたら、それこそ大変なことになる。だから……」 菜々子を押し止めた。 そう言われたら、菜々子は頷くしかなかった。 大城は雨の中、傘を差して駆け出していく。 菜々子は身体を抱くように腕組みをすると、再びゲームセンターの壁にもたれかかった。 「ティア……なにやってんの……」 いらだった口調で、ミスティが呟いた。 神姫がマスターの元を飛び出してどうするというのだ。 この雨の中、たった一人でどこへ行くというのだ。 神姫をなくしたマスターがどれほど心配するものなのか、わかっているのかしら、ティアは! ミスティが親指の爪を噛み、いらだちを増している。 菜々子はさっきからうつむいたままだった。 だが。 ……震えてる? 体重を預けている菜々子の肩が細かく震えている。 そして、かすかな声。 「だめよ、ティア……いなくなるなんて……」 「ナナコ……?」 菜々子は思い出す。 自らの神姫をロストした日のことを。 身も心も引き裂かれたあの日。 菜々子の瞳からは涙さえ枯れ果てた、あの時。 「ぜったいに、だめよ……」 あの時の気持ちは「心が引き裂かれた」なんて生やさしいものじゃない。 恐怖だ。 自分のせいで、神姫を帰らぬものにしてしまった、底知れない絶望だ。 あんな思いを、遠野にさせてはだめだ。 あんな思いを、自分に近しい人にしてほしくはない。 だから菜々子は痛切に願う。 ティア、無事でいて、戻ってきて、と。 菜々子が深い想いに沈んでいるそのとき、彼女の前に影が差した。 小柄な、四つの影。 「あなたたち……?」 ミスティの声に、菜々子はゆっくりと顔を上げた。 目に入ったのは、四人の女の子の姿だった。 菜々子より少し年下だろうか。思い詰めたような表情で、菜々子を見つめている。 菜々子の視線を感じてか、四人とも緊張に肩をすくめた。 「……なに?」 ごめんね、優しい声をかけてあげられなくて。 視線も不躾で、疑わしくて。 あなたたちも……ひどいことを言いに来たの? よく見れば、彼女たちは見かけたことがあった。 いつも四人でバトルロンドをプレイしている女の子のグループだ。 このゲーセンの常連で、和気藹々と仲間内でプレイしているのをよく見かけている。 いずれもライトアーマーの武装神姫のマスターだった。今も、自分の肩にそれぞれの神姫を座らせている。 一人の少女が、思い切ったように菜々子を見つめた。 セミロングの髪に、眼鏡をかけた、まじめそうな女の子。彼女がリーダー格なのだろう。 眼鏡の少女は必死の表情で、口を開いた。 「わたしたち、エトランゼさんの代わりに、ティアを捜してきますっ!」 「え……?」 「わたしたち、エトランゼさんに賛成です。味方です!」 菜々子は思わず言葉を失い、少女達を見た。 少女達は口々に話しはじめる。 「わたしたち、いままでのこと、全部見てました」 「雑誌のことも、ティアのマスターが怒ってるところも、昨日のエトランゼさんのバトルも……」 「それで、みんなで話し合ったんです。わたしたち、エトランゼさんのファンで、憧れてるんです」 「だから、一人で頑張ってるエトランゼさんを応援しようって……」 「ちょ、ちょっと待って?」 菜々子は驚いて、話を遮った。 「わ、わたしのファンだからって、わたしの味方することはないのよ? だって、いまのわたしは……」 「ちがうんです、それだけじゃないんです」 今度はリーダーの眼鏡の少女が話を遮った。 「わたしたち、ティアのマスターに、親切にしてもらったことがあるんです」 「わたしたちは、この四人でばかりバトルしてて、他の人達とバトルあんまりしないんですけど」 「対戦台が空いていなくて困っているとき……ティアのマスターに譲ってもらったんです」 「一人プレイで対戦待ちしてたのに、途中で中断して、『ここどうぞ』って……」 「それも、一回だけじゃないんです。一人でプレイしてるときは、必ず譲ってくれて……」 「でも、わたしたちがお礼を言うと『きにしないで』って言ってくれて、まるで当たり前のことをしてるって感じなんです」 すると、少女達の肩にいた神姫の一人、ポモック・タイプが無邪気な声を上げた。 「ティア、笑ってくれたよ!」 すると、他の少女達の神姫も、顔を見合わせて頷いた。 「うん、笑ってたね」 「ティアも優しく笑ってくれました」 「なにも話さなかったけど、『いいよ』って言ってくれてるみたいだった」 菜々子は何も言えず、四人の少女を見つめていた。 「それで……わたしたち、話し合ったんです。ひどいことされてる神姫が、あんな風には笑えないんじゃないか……」 「ティアのマスターは、いつも紳士的な態度でした。彼こそが、武装紳士というのにふさわしいんじゃないですか?」 「だったら、雑誌見て笑ってる人達は? ティアのマスターをあんな風に怒らせる人達こそ、間違っているんじゃないの? って……」 「誰が本当に正しいのか……わたしたちはわかってたはずなんですけど……言い出す勇気もなくて……」 「でも、憧れのエトランゼさんが、ティアにつくって言ってくれたから」 「わたしたち、バトルも強くないし、足手まといかも知れませんけど!」 「でも、わたしたちにできることくらい……ティアを代わりに捜しに行くことくらい、手伝わせてください!」 四人の少女は、菜々子に頭を下げた。 「お願いします!」 菜々子は、ゆっくりと一歩踏み出す。 そして、四人の少女をかき抱いた。 「エ、エトランゼさん……?」 「……お願いするのは、わたしのほう」 足手まといだなんて。 今の菜々子には、一騎当千の仲間を得た気持ちだ。 心が痛いほど嬉しくて、泣きそうだった。 でも、泣いてはだめだ。 今は、泣くよりも先に、やらなくてはいけないことがある。 「ティアを、捜して。遠野くんを助けて」 四人は、一瞬腕に力を込め、抱き返してくれた。 「まかせてください!」 菜々子は、リーダーらしき眼鏡の少女と携帯番号を交換する。 名前を八重樫美緒、という。ウェルクストラ・タイプのオーナーだった。 見つけたら美緒を通して連絡をもらえるように言うと、四人は雨の街に飛び出していった。 ■ 高いところから見下ろす道路は、まるで車が流れる川のようだ、と思った。 人が乗れるほどの大きな金属の固まりが、何台も何台も流れては過ぎていく。 ここから落ちれば、きっと車にはじかれて、わたしの身体は粉々に砕け散ってしまうだろう。 でも、わたしは、歩道橋の柵の間から下を見下ろしたまま、動けずにいた。 自分から身を投げる意気地もないのだった。 もうどうしようもない。 何一つできない自分に嫌気が差す。 だけど、もうすぐバッテリーが切れる。 そうしたら、わたしは姿勢を保持できなくなり、ここから落下するだろう。 わたしの意識がなくなった直後に。 わたしはそれを待っている。 その間に、わたしは思いを巡らせた。 わたしがいなくなったら、マスターは新しい神姫をお迎えするだろうか。 きっと、するだろう。 今度は、わたしみたいな面倒くさくて出来の悪い汚れた神姫ではなく、オフィシャルの新品の純粋な武装神姫を。 その子は間違いなく幸せになれる。 だって、マスターの祝福を一心に受け、成長することが出来るのだから。 マスターだって、きっと幸せになれる。 誰の目もかまうことなく、自分の神姫を連れ、堂々とバトルに挑める。 公式戦にだって参戦できる。 きっといい成績が残せるだろう。 ゲームセンターの人達にも認められ、きっと久住さんや大城さんとも、もっと仲良くやっていけるだろう。 ミスティさんは、新しい神姫を笑顔で迎えてくれるに違いない。 虎実さんだって、わたしのように避けることなんてしないはずだ。きっといいライバルになれるはず。 想像の中にいるわたしの大切な人達は、みんな明るい未来に向かって歩いている。 ああ、そうだ。 わたしがいなければ、大切な人達はみんな幸せになれる。 わたしなんか、最初からいなければよかったんだ。 『わたしなんか』って言ったら、マスターに怒られるけれど。 でも、もうマスターが怒ったりすることもありません。 わたしはもう消えますから。 だからマスター。 どうかどうか、幸せに……。 視界がぼんやりと霞んでいるのは、涙のせいなのか、雨のせいなのか、それとも、もう焦点を合わせられなくなったのか。 膝の力が抜ける。 ああ。 全身を浮遊感に抱かれて。 わたしの意識は暗転した。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/721.html
第5話 剣の舞姫(ソードダンサー) ついに来た。俺は、目前の多目的ホールの収まる建物を見上げていた。 今日、これからここで行われるのは”武装神姫ショウ”というイベントだ。 企業による次世代モデルの発表や会場限定品販売、個人ディーラーの自作品販売、新規ユーザー獲得の為の催しも充実している。 もちろんバトル大会も行われる。 バーチャルバトルで強くなったエルを公式戦に出すことを決意し、出場を申し込んだ。 会場前には、一般参加者の列が伸びており、今現在も伸び続けている。 俺はその列を横目で見ながら、メインゲートとは違う入り口へと向かう。 そこで大会招待状をみせ、入場証をもらい控え室へと案内された。 控え室はかなり広く、すでに数人の参加者が自分の神姫のチェックをしていた。 俺も与えられた一角に荷物を置き、持ってきたパソコンを起動させる。 「よし、出ていいぞ」 ペンケースのような箱を開けると、二人の神姫が起き上がる。 「マスター、いよいよですね」 「ああ」 アールの頭を撫でてから立たせてやる。 「あ、あたい……」 「緊張してるのか?」 無理も無い、この大会の模様はTVはもちろん、ネットにも配信される。 エルも同じように頭を撫でて立たせてやる。 「エル、ちょっとじっとしてて」 俺は、パソコンから伸びたコードをエルにつなぐ。 パソコンにさまざなな情報が表示されるが、異常個所は見られない。 「よし! OKだ」 コードを抜き、エルに答える。 それから俺たちは、パソコンに入れておいた簡易型ヴァーチャルバトルの対CPU戦用モードにてエルのウォーミングアップをした。 開始時間が近づいて、次々と参加者が入ってくるが、人数が少ない気がする。 「別にも控え室があるのでしょうね」 「だろうな」 アールに答える。 確かに、ここが広いといっても個人個人が持ち込む荷物がかなりあり、入れる人数が少なめみたいだ。 会場側もそのことを分かっているようで、個人に割り当てられたスペースがかなり広くなってる。 もちろん、俺のスペースも同様でパソコンとエルに使う武装一式と、メンテナンス用具しか持ってきていない俺にはかなり広い。 他の参加者を見回すと、およそ実戦向きでないようなドレスを着せている人、俺の用に2,3人の神姫を連れて来ている人などが居る。 「この全てがあたいのライバルなんですね」 俺が他の参加者を見ているのに気が付いたのだろう、エルがそう言ってきた。 「ああそうだ。こわいか?」 エルの頭を撫でると、ふるふると首を横に振る。 「ううん、マスターと姉さんがついてるから平気」 エルはニッコリと笑った。 控え室にスタッフが入ってきた。 「これより、武装神姫バトル大会が始まります。参加者の皆さんは、バトルに参加させる神姫を素体状態で持ち、順に廊下へ並んでください」 それを聞いた参加者が立ち上がり、神姫を連れて出て行く。 「じゃあ、行ってくるよ」 「はい」 アールにそう言って、エルを持ち廊下に出た。 スタッフに連れられて廊下を歩いていると、向こう側からも同じように歩いてくる集団があった。 二つの集団の合流地点で右に曲がり会場へと目指す。 ステージに全員が並ぶと、スポットライトが当たると同時に大歓声が巻き起こった。 『ここに集まった戦士たち。目指すは優勝という栄光。このステージに立てばルーキーもランキング一位も関係ない』 『あるのは、そう、今現在の能力の優劣のみ。さあ! 始めよう! 栄光を目指す挑戦者達の競演を!』 『注目せよ! これが栄光への階段だ!!』 大音量のナレーションと共に、俺たちの背後にある大スクリーンにトーナメント表が表示された。 バトル参加者に見えるように、ステージに置かれたモニターには同じ様子が表示されている。 『エントリーNo1』 ナレーションと共に個人にスポットライトが当たる。それと同時にトーナメント表に名前が入る。 名前が入るたび、ギャラリーから大歓声が上がる。そして、俺は一回戦最終組となった。 その後、俺たちは控え室に戻ってきた。 「まだドキドキしてるよ」 エルが胸を押えて興奮を隠しきれない様子だ。 「じゃあ、調べてやろうか?」 「やん」 俺がいやらしい指の動きでエルに迫ると、身を翻しエルが逃げる。 「あははは」 「うふふふ」 「くすくす」 俺たち三人は一斉に笑い出す。エルもリラックス出来たようだ。 しかし、異変は突然やって来た。 そろそろ準備をしようとしていたときだった。 「マスター!」 アールが叫ぶ。 アールの方を向くと、そこにはぐったりとしたエル。 「どうした! 大丈夫か?!」 エルの反応は無い。 急いでエルにコードを挿し、機能チャックする。 「原因不明の動力停止、それによりAIがスリープ状態か」 パソコンからエルに再起動指令を与える。 「反応なし。再起動できない……」 「マスター……」 心配そうなアールに説明する。 「エルは機能停止して、復帰出来なくなってる。AIはスリープしただけだから、起動さえ出来れば……」 「マスター、動く動力……ボディがあればいいんですよね」 「そうだが、そんなもの持ってきてないぞ」 最低限の物しか持ってこなかったことを悔やんだ。 「あります」 「え?」 俺はそういうアールに驚く。 「………ここに」 そういって自分の胸を押えるアール。 「使ってください」 「いいのか?」 コクンとうなずくアール。 「ごめんなアール」 俺はそういって、メンテナンスベッドにアールを寝かせ、機能停止させた。 ボディ破損などによる交換手順は知っていたが、いざ行うとなると違う。 胸部カバーを外し、CSCを引き抜き、壊れないように刺さっていたスロットをメモして紙で包む。 それから、アールのヘッドを外し、エルのヘッドと交換した。 エルのCSCをアールに刺し、カバーを閉じる。 「たのむ、起動してくれよ」 俺は祈るように起動指令を与えた。 「ん…んん」 エルが起き上がる。 「あれ? あたい、いったい」 「機能停止したんだ」 「そっか……え! どうして!」 自分の身体をみておどろくエル。 「起動できなくなったボディの変わりに使ってって言ってな」 エルに説明すると、泣きそうになった。 「エル、泣くな。エルは戦って勝つことだけ考えろ」 「うん……」 そういってエルは、頭だけのアールを抱きしめた。 「いくぞ」 「うん」 エルに武装をしていく。足にストラーフのレッグパーツ、太ももにアーンヴァルのシールドパーツ。 背中にサブアームユニットとアーンヴァルの翼にレッグパーツのブースター、肩にアーンヴァルのシールドパーツ。 頭にアーンヴァルのヘッドギアを付けた。 胸にストラーフのアーマーをつけたときエルが言ってきた。 「マスター、胸の名前のとこ、アール姉の名前も書いてくれよ」 「わかった」 そういって、胸に書かれた”L”の文字に重ねるように”R”を書いた。 背中にフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを取り付け、レッグパーツにアングルブレード。 手首にアーンヴァルのサーベルを取り付けて武装完了。 そこまで行った所で、スタッフの声がかかった。 「陽元さん、準備をお願いします」 俺は、不正パーツのないことを審査してもらう為、エルを提出した。 そして俺は戦いの舞台へと向かった。 ステージに上がると、再び大歓声に迎えられる。 バトル用のブースにつくとすでにエルが準備されている。 俺は、備え付けのインカムをつけて、エルとの交信状態を確認する。 「エル、聞こえるか?」 「おう、マスター聞こえるぞ」 「いいか、お前は一人じゃない。アールと一緒に二人で戦うんだ」 「マスター、その計算、間違ってるぞ」 「え?」 「あたいにはマスターの気持ちが注がれている。アール姉にもマスターの気持ち……いや、愛だな。アール姉の場合は」 「お、おい」 「あはは、気づいてないと思ったか? 相思相愛、熱いねぇ。とにかく、あたいとアール姉と、あたい達に対するマスターの気持ち。合わせて四人だ」 「……そうだな。だから絶対負けないさ」 「おうよ」 「いくぞ!」 「おう!」 バトル開始の合図が鳴った。 開始と同時にエルはヴァーチャルステージへと移る。 ゴーストタウンステージに光の柱が現れ、光が消えると同時にエルが現れた。 こちらのモニターでは確認できないが、相手もどこかに現れたはずだ。 エルは出現地点からまだ一歩も動いていない。 いや、動いていないわけではない。 その場で左右の踵を交互に上げ下げをしてリズムを取っている。 どこからともなく、猫型ぷちマスィーンズが襲い掛かる。 エルは尚も足踏み状態だ。 猫ぷちの砲撃がはじまるがエルには当たらない。 いつのまにかサブアームにフルストゥ・グフロートゥを持ち、くるくる回転させることにより弾をはじく。 猫ぷちが突撃してくると、エルは優雅に足を振り、足先の刃で突き刺し、地面に叩き落す。 しかし、身体の軸はぶれずに、サブアームのフルストゥ・グフロートゥを回転させたままだ。 「さて、そろそろ公演開始しようか」 「OKマスター」 にやっと笑いそういうと、エルは目を開き、アングルブレートを自分の両手に持ち、前方へ大きく飛び出した。 そして、身体を回転させると同時にアンブルブレードを振り、猫ぷちを斬ると光となって消えて、退場扱いになった。 「まず、2機」 身体の回転を止めると同時に、サブアームのグフロートゥを左右別方向に投げる。 刃の飛ぶ先に猫ぷちがそれぞれ位置して、貫通する。 「はい、4機」 猫ぷちの倒されたことによる退場を確認すると、アングルブレートをサブアームに持たせゆっくりと飛ばしたグフロートゥの方へ歩いていく。 辿り着くなり足先で思い切り蹴り上げると、そのまま回転し後方に回し蹴りを放つ。 足先の刃に今度は犬ぷちが突き刺さっていた。足を下ろすと同時に退場する犬ぷち。 エルはすっと腕を伸ばすと先ほど蹴り上げたグフロートゥが落ちてきて手に収まる。 驚いたことにグフロートゥには犬ぷちが刺さっていて退場していった。 「6機か、あと2機くらいいるだろう」 サブアームの手首を回転させアングルブレードを地面に突き刺した。 「7機目」 エルが呟くと、地面から退場の合図の光が漏れた。 突然エルが上を向き、身体を回転させてその場所から離れると、さっきまで居た場所に犬ぷちの乱射が降って来た。 サブアームのアングルブレードを軽く放り投げ、自分の腕で持つと、跳び上がり下から犬ぷちを薙ぎ払う。 「8機、これで打ち止めだろう」 エルは一旦全ての武器を収めた。 ここまでの戦いを見ていたギャラリーは静まりかえっていて、エルが武器を収めると同時に轟音と化した感性が沸き起こる。 見ていた誰もが同じ感想をもったことであろう。 それは戦いというより、”剣の舞い”だったと。 「エル、レーダーに反応は?」 「いまんとこ無しだぜ、マスター」 「そうか、こっちから動くか」 「OK! 恥ずかしがり屋さんを迎えに行きますか」 エルが探索の為に歩いていると、弾が落ちてきて煙幕を吐き出す。 「エル!」 「大丈夫だ! たぶんここから出たところを狙い撃ちっていうことだろうが、そうはいくか!」 エルはブースターを全開にして飛び上がる。 するとエルを追うようにマシンガンの乱射が迫ってくるが追いつかない。 エルが上空から確認した相手の神姫は忍者素体にハウリンのアーマー、両肩に吠莱壱式、背中からストラーフのサブアームを二対ついている サブアームには、STR6ミニガンを2門、シュラム・リボルビリンググレネードランチャーが2門装備されていた。 足はマオチャオのアーマーで、エルとは対照的な射撃に特化しているようだ。 轟音と共に両肩の吠莱壱式が火を噴く。 エルは上空に停止しフルストゥ・クレインを自分の腕で、サブアームにフルストゥ・グフロートゥを持つ。 四枚の刃を蝶の羽の用に合わせて防ぐ。 さらに、グレネードランチャーやミニガンをも合わせて撃ってくるが、四枚のグフロートゥとクレインで全て防いだ。 銃は効かないと思ったのか、忍者が飛び上がりハウリンの腕が下から襲い掛かる。 「気をつけろ! 射撃戦用が接近してくるのは、何か隠してるぞ」 俺はエルに注意を促す。 「分かってるって」 エルは上体を反らせてかわし、そこから地面へと急降下。 その一瞬後、エルの居た位置に相手の背中から伸びた、マオチャオの腕に取り付けたドリル空を切る。 エルより遅れて着地した忍者がマオチャオの腕を出すと、両腕にドリルがついていた。 ハウリンとマオチャオの腕、サブアームが二対、合計八本の腕が出揃った。 「まるで蜘蛛だな…」 正直な感想をもらす俺。 「マスター、作戦は?」 「んじゃ、蜘蛛の足から落としていくか」 「OK! 派手にいくぜ」 エルは相手に向かって飛び込み、発射間近だった吠莱壱式にアングルブレードを刺しこみ、バク転で逃げる。 大爆発と共に吠莱壱式とマオチャオの腕が吹き飛ぶ。 「まず二本!」 エルが叫ぶ。 爆発でうろたえる相手の頭を優雅に飛び越えの背後に回り、フルストゥ・クレインとフルストゥ・グフロートゥをサブアーム基部に突き刺す。 そして、ジャンプして足で押し込むとそのままジャンプして飛び越える。 「これで六本!」 倒れた忍者が起き上がると同時に、ビームサーベルを両手に持ち懐に飛び込んで相手を貫いた。 相手は、ヴァーチャルフィールドから消えてエルの勝利が決定した。 エルはビームサーベルを収めて左手を腰に当て、右手は頭上に高く掲げる。 そして、タンタンと大きく二回足踏みをして音を鳴らすと、キッとポーズをとった。 この日最大であろう、大歓声がエルと俺を祝福する。 控え室に戻った俺たちは、結果をアールに報告した。 「アール姉、勝ったぞ」 エルは武装をつけたままで、アールの頭を抱きしめる。 「よくがんばったな」 俺はエルの頭を撫でる。 「この調子で二回戦もがんばるぞ」 「おう!」 エルは勝ち進み、ベスト8まで行ったが、そこで負けてしまった。 そのときの相手が今回の優勝者だった。 俺の部屋の本棚の最上部に二つ目のアクリルケースが置かれることになった。 一つ目には、壊れたストラーフの素体。 二つ目にはストラーフの胸アーマーをつけたアーンヴァルの素体がストラーフの素体を抱きしめている姿になっている。 頭がない分ちょっとシュールになってしまっているが。 結局、エルの素体は起動しなくなったので新しいのを買った。 エルの使ったアールの身体をアールに戻すと、記念だから残して欲しいと言われ、アールの素体も新品にした。 それからもアールとエルは仲良くダンスをして俺はそれを眺め、エルをバトルさせるといういつもの生活が続いている。 大会を見ていた誰かが付けた、エルの二つ名”剣の舞姫(ソードダンサー)”が日本中に広まるには、あと少し時間が必要だった。 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/633.html
目覚めればそこは …眠りから覚める。 ゆっくりと目を開けると、目の前にパソコンに向かっている人影が見えた。 “私”が初めて見る風景。 未だ夢の中にいるような感覚ー…自分の意思とは別に、定められた初期プログラムに従い最初の一言をかけようとして…-気づいた 「っひゃぁぁぁああぁぁぁっ!?」 突然上がった絹を裂くような…むしろ音量を考えると食器棚をひっくり返したような悲鳴。 ゆっくりと振り向くと其処には、全裸の女の子が自分の体を隠すようにしゃがみ込んでいる。 女の子といっても生身じゃなくて全高およそ15cm、最近巷で流行の“武装神姫”…有体に言って玩具なわけですが。 彼女はその中でも武者をモチーフとした“紅緒”タイプだ。 ちなみに全裸というかあれは肌色素体だ。 顔を真っ赤にして(目じりに涙まで溜めて)その場にしゃがんでいるその子は、それでも持ち前の職業意識(?)からかこちらに話しかけてきた。 「あっ、あ、あの、貴方が私のマスターでしょうかっ!?」 降って沸いた嗜虐心に唆されてもうちょっとこのまま放置してみようかな、等と外道な思考を彷徨いかけたがまぁ、ソレも可哀想な気がしてきたので 「む、俺は堀川 六角、よろしく」 「登録しました…あの、それと、私…紅緒タイプは素体ボディ同梱だったと思うのですがっ!何故いきなり裸なのでしょうか!?」 変わらずしゃがみ込んだまま聞いてくる。 「ああ、それは話すと長くなるんだが、とりあえず君の体は隣にいるよ」 恐る恐る、という風情で振り返る彼女。 その視線の先には、特徴的な曲線を描く塗り分けに円形の模様…紅緒タイプの素体ボディを使ったツガルタイプが微妙に困った表情を浮かべながら立っていた。 「最初は知らなかったんだけど、“アデルトルート”…そのツガルタイプを買ったときに別売りの素体ボディが必要でね?」 「そこで、何故だか安売りしていた君を買って、少し体を拝借してね」 「そのままほうっておくのも可哀想な気がしたから、新型素体の発売(※注)に合わせて素体ボディを追加購入したんだよ」 朗らかなに言い放った直後 ターン 顔の横を何かが高速で通り過ぎた。 はらり、と髪の毛が数本落ちる。 ぎこちなく飛来元をみるとそこには火縄銃“気炎万丈”を構え、銃口から紫煙をくゆらせる彼女の姿が。 涙目が血走ってもはや鬼の形相と化していますよ、お嬢さん? 「今すぐ、元に、戻してください」 「ははは、まぁ落ち着いて話し合おうじゃないか。まずはその物騒な得物を下ろしてくれなさい」 我ながらわざとらしい笑顔を浮かべつつなだめにかかる。意外と短気だこの子…と、そう考えてふと思いつく。 「ホムラ…」 「え?」 聞きとがめて、鎧を着終えた彼女が振り向く。 「焔、君の名だ。顔を真っ赤にして照れて、怒りっぱやい。最適だとおも…だから気炎万丈を構えるのはやめてくれなさい」 危ない危ない…とりあえず気炎万丈は後でどこかに隠しておこうと思いつつ、フル装備の彼女…焔をしげしげと眺める。 「あお、マスター…?」 「ふむ、全裸に鎧というのも中々おつなものだとだからかまえるのやめっておい、ちょ!」 ターン ※注 …実際は素体の発売は四弾と同時ですが、それまで全く何もないというのも何だか変に思えるので“前からあったけど今回新型がでた”という設定に勝手に妄想。 素体購入後の武士子との一幕。 実際に動いたらこんな感じだろうかという妄想を膨らませつつ全裸に鎧にトキメキを覚える今日この頃いかがお過ごし。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/176.html
そのきゅう「たまには勝敗の無いゲームを」 「ティキ、大丈夫かな?」 「心配性だね。大丈夫だよ。オレ達の神姫だっているんだからね」 「お前は初めてかもしれないけど、俺たちは何回かやってるから、安心しろよ」 「しっ。待って、うちの子が何かを見つけたみたい」 その言葉に反応し、僕らはモニターに釘付けになる。 そこにはティキと、他三体の神姫たちの姿があった。 その日僕は、弓道部の仲間で、武装神姫のオーナー仲間でもある式部敦詞に誘われ、チョット大き目のセンターに遊びに来ていた。 式部が言うには、 『武装神姫の、バトル以外の楽しみ方を教えてやるよ』 との事。 一体何の事かまったく理解せず、僕はティキと一緒に半ば強引に式部について行った。 まずそこで僕は二人の男女を紹介される事になる。 チョット背の高い優しそうな顔立ちのお兄さんと、アーンヴァルの素体にストーラーフのコアをつけた神姫。そして眼鏡のクールな女の子とチョット珍しいフブキの神姫。 「はじめまして。オレは司馬仙太郎。君よりはチョット年上の大学生だよ。で、コッチがオレの相棒、ナイア。よろしくね」 「私は結城セツナ。高校二年生。こちらが私の海神(わだつみ)。よろしく」 で、僕はその女の子――お姉さんの名前を聞いて驚くわけだ。チロッと式部の方を見ると、ヤツはニヤニヤと笑っている。 コンチクショウ! わざとだな! 僕は腹をくくって自己紹介をする。 結城さんが僕の名前を聞いて、驚いてから、やわらかく笑った。 『カードキーの様であります』 海神がそのカードを拾いながら言っている。基本装備をほとんど持たない忍者型の海神は、忍者刀・風花に大手裏剣・白詰草、黒き翼プラス一部ヴァッフェバニーの装備で武装している。 『なるほど。それでさっきの扉を開けろというワケね』 そう言ったのは式部の神姫、ツガルのきらり。こいつは先行特別販売でGETしたツガルを事あるごとに自慢していた。きらりは基本的なツガルの武装。 『パターンだネ。もう少し凝ってくれてもイイのにネ』 ナイアはそういうとやれやれとでも言いた気にため息を吐く仕草をしている。ナイアは悪魔型フル装備に天使型のウイングユニットを無理やりつけたような、一際巨大なシルエットをしていた。 『あのあの、そういうものなのですかぁ?』 この中でティキだけがオドオドしているのがなんだか情けない。ちなみにティキはバトル用の武装。だって何やるか聞いてなかったんだから仕方ない。 『そ。こういう探索ものではありきたりの、要するにスペースを無駄にしないためだけの処置ね』 ティキとはすでに見知った仲の、きらりが答える。 『それじゃ扉まで戻る前に、一応奥まで行ってみよっか? 何も無いとは思うけど、初参加がいるからその方がいいでショ?』 その言葉にティキ以外の二体が頷いた。 今ティキ達がいるのはPC上に再現された機械遺跡。ジオラマ作成ツールを利用して作られたモジュールの一つ。そのジオラマに設定されたイベントをこなしてクリアを目指す。 本来はネットを介してやるらしいんだけど、こんな風にオーナー同士集まってやるのもまた一般的。 実際ならそれぞれのユーザーが自作するものらしいんだけど、今回使用しているのはオフィシャルなもの。それでも元は一ユーザーが作ったもので、それを調整したものらしい。 ……ジイ様に聞いたTRPGとか、母さんに聞いたMMOとか、そんなのを彷彿させる。 で、僕達オーナーはなにをするのかと言えば、神姫たちに時限式で送られる後情報を基にした指示を与えたり、一緒になって謎解きなどする事などなど。ま、中にはオーナーが一切何も出来ずに、ただ見守るだけのモジュールもあるみたいだけど。 艱難辛苦を乗り越え、ようやく最深部への扉の前に到着。 そしてここにきてオーナーに向けたテキストが現れた。 『この扉より先、オーナーの指示は神姫に届きません』 なんだよ。最後の最後で観戦モードか。 当然僕らはそれを神姫たちに伝えた。 『ふええぇぇぇぇ? 心細いのですよぉ~』 さすがにティキは不安を隠せないでいる。 しかし他の三体は慣れたもの。動じることなく扉を開ける意思を示す。 そうなるとティキにも僕にも拒否権なんてあるわけもなく、しぶしぶと同意する。 躊躇無く扉を開けるナイア。 広い空間。その空間で複数の神姫が一点を目標に攻撃してる。 『あなたたち、ここは危険よ! すぐに退避しなさい』 目標に向かってマシンガンを打ちながら、こちらを振り返る事無くそのアーンヴァルは言う。 『えっと、そう言われても……困るのですよぉ~』 『ティキちゃん、自動起動するイベントだから。なーに言っても無駄だから。ネ?』 困惑するティキに、ナイアはにこやかに答える。答えながら、臨戦態勢を整えた。 『ふぇ? え?』 何をして良いのか見当もついていないティキ。その脇では海神ときらりも攻撃の態勢を取っていた。 それに習い、ティキもレーザーライフルを構える。 四体が準備をするしないに関わらず、多くのNPC神姫がほぼ同じポイントに攻撃を続ける。 『いける?』 NPCの一体がそうつぶやいた時だった。 しゅるるるるるる あからさまな音を立てながら無数のコードが大勢いるNPC神姫たちに襲い掛かる。 『きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!』 そのコードはまるで自我を持つかのように自在に動き、多数の神姫を一人残らず絡め取る。滑る様に神姫の肌を蹂躙し、手足の自由を奪う。 そして動けない神姫を侵す様にソケットの穴や口に侵入した。……それ以外のところにも。 『いやぁぁぁぁぁぁーーーーー!!』 『あああぁぁぁぁぁぁ!!』 コードに犯された神姫たちが悲鳴を上げた。 それをモニター上で見ていた僕は赤面した。 「……なんかこれってエッチくない?」 小声で隣に座っている式部に話す。 「同感。……女のクセになんで結城はこんなの選んだんだ」 僕と同じく小声で言った式部の言葉を受け、僕はチラリと結城さんを見る。 だが僕には眼鏡をかけたそのお姉さんの表情を図る事が出来ない。 『~~~~~~~!!!』 ティキが真っ赤に顔を染めながら左手のハンドガンで射撃を開始する。狙いはコードの一本一本。 「弾が六発しかないリボルバーで何やってんだよ~」 僕の声がティキに届かない事は自覚していたが、それでも言ってしまった。 『まだターゲットそのものが現れていません。無駄弾を消費するのは賢明では無いと忠告します』 海神が僕の代わりにティキに注意してくれた。 『どうやら大ボスのお出ましのようよ。ティキちゃん』 きらりが両腕のライフルを構える。 そこに現れたのは現行通常販売している神姫五種の首を持つ鋼鉄の大蛇。尻尾の変わりに無数のコードが生えている。その尻尾コードが、他の神姫たちを犯していた。 『……悪趣味~』 ナイアは心底嫌そうな表情で、吐き捨てるようにそう言うと、レ-ザーライフルを発射させる。 それを神姫が繋がれたままのコードで大蛇は防御。その結果、レーザーはNPC神姫を焼き、溶かす。 『ますます持って悪趣味!!』 きらりはそう言うなり、狂った様に二つのライフルを乱射させる。 だが大蛇も防戦ばかりではない。大蛇のコードがきらりの足に巻きつく。 『ひぃっ!』 巻きついたコードに嫌悪感を顕にする。 きらりに向かって更にコードが迫る。 『いやっ!!』 きらりは目を閉じた。 が、いつまでたってもきらりにコードが巻きついては来ない。 恐る恐る目を開けるきらり。そこには海神が立っていた。海神の刀が、きらりに向かってきたコードを断ち切っていた。 「なるほど。神姫の怒りと恐怖をあおる為の演出なんだ」 モニターを注視していた司馬さんが感心した様に呟く。 「いや、だとしても悪趣味なのは変わらないと思うんですが……」 「そうね。でも計算されているわ。オーナーとの連絡は届かず、敵は悪趣味。あの子達、冷静に判断できているかしら?」 僕の言葉に対し、結城さんは冷静に答える。心配じゃないのかな? と思わずにいられないくらいに、冷静。 そういう意味じゃ、とても普段の態度からは想像も出来ないくらいに我を失っている男が隣にいる。 「きらり! きらり!! 大丈夫かーーーーっ!!」 ……お前、最初に僕になんて言ったよ。 そんな間にも状況は変化しているようだ。 大蛇に犯されていた神姫たちが、攻撃に参加し始めた。 もちろん、エネミーとして。 『このままじゃ手詰まりだヨッ! 海神ちゃん、ティキちゃん。私たち援護するから、二人でアイツに接敵して!』 『任務、了解』 『ハイですぅ! レーザーライフル置いて行くですので、使って欲しいのですよぉ♪』 『ありがと。きらりちゃん、行くヨ!』 『あんな目に遭って、更にあんなのに利用されたくないもの。全力で行くわ!』 どうやら作戦が決まったらしい。それぞれ武器を改めて構える。 ティキも西洋剣をスラリと抜いた。 何の合図も無く、四体は同じタイミングで動き出す。 二本の巨大な銃口から光の筋を打ち出すナイア。 そのフォローをするように、ナイアの撃ち洩らしはきらりが両の手のライフルで粉砕させる。 縦横無尽に宙を飛び、地を駆け、時には障害になる敵を刀や大手裏剣でなぎ払い、海神は大蛇へと近づく。 ティキは、味方の援護、敵の銃弾、大蛇の尻尾のその事ごとくを超反応で避け、一足飛びで大蛇に接した。 『一つっ……ですぅ☆』 ティキは大蛇の傍らに到着するなりそう言った。そう言った後、大蛇の首の一つ、マオチャオの首が爆散する。 『ティキとおんなじ顔を、つけてて欲しくないですよぉ♪』 そう言うなりすぐにその場から移動。一拍遅れてその場にコードが叩き付けられる。 『……………………』 何も言わず、海神が大手裏剣を投げる。それはそのまま吸い込まれるようにアーンヴァルの顔がついた大蛇の首を断つと、そのまま勢いを保ち、大蛇の背後の壁に突き刺さった。 ここにきてようやく大蛇に侵された神姫たちの攻撃がティキと海神に向けられる。しかしそれらの攻撃が開始される前に、ナイアときらりが大蛇の手足となった神姫を破壊する。 すでに勝敗は決していた。 「マスタ、恐かったですよぉ~」 現実の体に意識が戻るなり、ティキは僕の頭に飛びついてきた。正確に言えば顔に向かってきたティキを心持避けたら、頭に飛び込んで来たんだけど。 僕は頭の上でじたばたしているティキに意識を向けながら、それでも三人に目を向けずにはいられなかった。僕は、自分以外の神姫オーナーを知らなすぎる。 司馬さんはナイアを肩の上に乗っけて、ナイアの健闘を称えていた。ナイアはそれに胸を張って答える。 式部は…… あー、なんて言うか、あの普段の態度は何処行ったんだか。頬ずりでもせんばかりにきらりを抱きしめて離さない。 ……正直、付き合い方を改めようかと、本気で思う。 で、結城さんは。 眼鏡の奥の瞳に優しげな光を湛え、そっと海神の頭をなでる。フブキは表情を豊かに表すことが出来ないらしいけど、海神のその顔はなんだかうれしそうで照れくさそうに見えた。 僕は頭の上でなおじたばたとしているティキを自分の掌に乗せて、 「お疲れ様」 と言う。 それにティキは満面の笑顔で答えてくれた。 終える / もどる / つづく!
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/17.html
デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 覚えるパッシブスキル一覧 神姫固有武器補正 神姫考察攻撃力 防御力 機動力 運用・総評 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー 島田フミカネ(ストライクウィッチーズ、メカ娘等) 声優 阿澄佳奈(ひだまりスケッチ:ゆの、WORKING!:種島ぽぷら、這いよれ!ニャル子さん:ニャル子、ささみさん@がんばらない:月読鎖々美、他) 神姫解説 アーンヴァルを3rd規格の素体ベースで新造し、武装も新たにリニューアルした最新モデル。前モデルよりクロスレンジ戦闘能力が強化され幅広い戦術が可能となっている。AI設定は素直なものとなっており、初心者オーナーでも扱いやすい神姫と言える。 名称:天使型アーンヴァルMk.2(てんしがたあーんゔぁるまーくつー) メーカー 素体:FRONT LINE 武装:FRONT LINE 型番:FL016 (FLO16とする記述もある) フィギュア発売:2010年7月15日(バトルマスターズ同梱)/2011年9月22日(フルアームズパッケージ)(バトルマスターズMk.2同梱) 主な武装:M8ライトセイバー(未使用時は両肩に装着。バトコンでは双斬撃武器) M8ダブルライトセイバー(二つのM8ライトセイバーを合体させた状態。バトコンでは双頭刃斬撃武器) GEモデルLS7レーザーソード(腕に固定する大型ソードだが、大型過ぎて取り回しに難あり。バトコンでは防具用武器) GEモデルLS9レーザーソード(上記ソードの欠点を解消した、手持ち式の大型ソード。バトコンでは両手斬撃武器) リリアーヌ(ビット。こちらは攻撃対象に直接斬撃攻撃をする。バトコンでは未実装) ココレット(ビット。こちらは攻撃対象に射撃攻撃をする。バトコンでは未実装) アルヴォPDW11(ハンドガン。バトコンでは片手ライトガン) アルヴォPDW11エクステンド(アルヴォPDW11に銃剣アタッチメントを装着した状態。バトコンでは未実装) GEモデルLC5レーザーライフル(一部パーツを変えてGEモデルLC7レーザーキャノンにできる。バトコンでは未実装) GEモデルLC7レーザーキャノン(一部パーツを変えてGEモデルLC5レーザーライフルにできる。バトコンでは防具用武器) ラファール(パーツの組み替えで生成する支援機。名前はフランス語で「疾風」を意味しており、同名のフランスの戦闘機も存在している。バトコンではアクティブスキル使用時に拝見できる) ※なお、彼女の武装アルヴォPDW11(ハンドガン)は同じフロントライン製神姫、天使コマンド型ウェルクストラの所持武装とまったく同名である。バトマスではDLC武器「アルヴォPDW11+アルヴォGB1ガンマウントブレイド」として収録されている。バトルロンドでもそうだったのでこの一致はミスなのか意図的かは不明。 通称「白子」「白子Mk.2」「しろにー」「あんばる(初代機と同じだが、偶に使われる事がある)」。 FRONT LINE社のベストセラー機種アーンヴァル系列の最新モデル。 初期モデルのアーンヴァルは、改修、追加パーツによるアップデートが限界を迎えていたため、素体を3rd規格で新造し、武装の機能を統合パッケージ化したもの。 初期モデルが戦闘スタイルによって選択していた単能武装を、個々のパーツに複数の機能を持たせることにより、一体の神姫が無理なく使えるサイズにまで小型化している。 スペック的には、これまで苦手としていたクロスレンジ戦闘能力が特に強化されマルチロール化した反面、単純な直線加速力、最高速度などは初期モデルに劣る。 また、アーマーパーツは組み合わせて支援機「ラファール」として運用可能であり、幅広い戦術を選択することが可能となっている。 本モデルはリリース後も随時仕様のアップデートを行っており、2041年時点においてはロールアウト時と比較して多彩な武装が可能となっている。 新たな追加装備としてバリエーション機であるテンペスタ(FL016/T)で試験的に採用された大型ウイング、脚部バランサーなどのパーツを同機の実績により正式導入。更に既存火器の機関部を流用した大型ソード・GEモデルLS9レーザーソード、長距離用ランチャー・GEモデルLC7レーザーキャノンを採用し、クロスレンジからロングレンジまで広い範囲において攻撃力が上昇している。 基本AI設定は初期モデルを踏襲した素直なものとなっており、初心者オーナーでも扱いやすい神姫と言える。 上の解説にあるとおり、武装神姫第1弾として発売された天使型アーンヴァルの正統後継機なのだが、フィギュアは(ストラーフMk.2と共に)ノーマル版(上記のロールアウト時)はバトマス特別版、フルアームズパッケージ版(上記の2041年時点)はバトマスMk.2特別版のおまけ(というか、大きさからしてゲームの方がおまけ)という特殊な流通形態(どちらの特別版も、コナミスタイル限定販売)を取ったため、入手手段が限られてしまったという経緯を持つ。 (リペイント版であるテンペスタが一般流通するという、これまでの「ノーマル=一般流通 リペイント=限定流通」とは逆のパターンとなったのはこのためでもある) 2012年以降、正規ルートでは新品のアーンヴァルMk.2の入手は不可能と言っても良い(棚卸し等のイベントで一瞬、限定版が復活することはあるが、大体が訓練された武装紳士達に一瞬で瞬殺されるため、神姫初心者が入手できる可能性は限りなく低いと言わざるを得ない)。 なお、3rd素体で一新した素体、さらにおそらくは武装神姫史上最多数の武装パーツにより、プレイバリューは歴代神姫の中でも屈指であると言え「さすがはフロントライン社のフラッグシップモデル」と呼べる出来になっている。 それだけに重ね々々、限定流通なのが悔やまれるところである。 余談になるが、このフルアームズ版のテンペスタが、コナミ内製のフィギュアが一般販売された武装神姫の掉尾を飾っている(2012年3月15日)が、新作ではなくリデコリカラー品であるため、その一ヶ月前(同年2月23日)に発売されたフブキ/ミズキ弐型を「最後の武装神姫」として挙げる声もある。 ただし、武装なしの素体だけであれば、2016年にアニメ版Blu-ray BOXの購入者特典として復刻生産されたもの(アン名義)が少数存在するが、細部が当時品と若干異なっており、これはこれで物議を醸した。 ちなみに、テンペスタ(フルアームズパッケージ)カラーのM8ダブルライトセイバー[R]がレイドボスバトルのロケテ報酬として、GEモデルLS9レーザーソードがレイドボスバトル(第二回)の闇神姫打倒の報酬となっている。 メインビジュアルにいるだけあって、公式媒体に於いても各ゲーム版で皆勤賞。発売時期の問題でコミック媒体各作品には登場しない(初代アーンヴァルは登場)ものの、アニメでは主役級レギュラー「アン」としてお馴染みの神姫である。 そして、当然のように2024年のパチスロ版にもメインビジュアルから登板。あちらでは通常の姿と「リミッター解除」としてテンペスタの姿とを使い分ける。 似たような能力を持つ神姫としてはバトマスのDLCに収録されたアニメ「Moon Angel」に登場する本機、個体名「かぐや」が存在。ただし、あちらはあくまでも神姫に身をやつした別の存在で、変化後の姿も「アーンヴァルMk.2黒」という、テンペスタとは別のオリジナル神姫扱いである。 看板神姫 パーツを組み替えることで別形態になる、という仕様上今作では一番のパーツ量を誇る。 ……が、テンペスタ実装後は先にFAP装備をあちらへと実装される等、ちょっと不遇気味。 ここは、オリジナル機としての挽回(!?)に期待したいところ。 全パーツ全レアリティ揃えれば、初心者卒業だ! 性格 真面目な優等生といった感じの性格。 誰にでも丁寧に接するため人当たりは良く、そこらの人間よりもずっとコミュ力が高い。オーナーに献身的な姿勢もあって人気も高い。 ただ冗談が通じなかったり洞察力がなかったり本音が直ぐ出たりと所々オーナーのカバーが必要なのは覚えておこう。 セリフ一覧 + おはようございます!マスター♪ ログイン時 通常(朝) おはようございます。来てくれたんですね!嬉しいです! おはようございます。今日も頑張りましょう! 通常(昼) こんにちは!今日の調子はいかがですか? こんにちは。ランチは終わりましたか?お昼抜きだと力が出ませんからね。 通常(夕) こんにちは。おやつはいかがですか?では、頑張りましょう! おかえりなさい!バトルの準備をしましょう! 通常(夜) おかえりなさい!今日はどんな感じで行きましょうか! こんばんは。夜遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございます。 通常(深夜) こんばんは!夜のバトルも一興ですね。楽しみましょう! こんな時間でも頑張るなんて流石です! 年始 あけましておめでとうございます!本年も頑張りますので、どうぞよろしくお願いしますね! バレンタイン 思いを伝えるために、チョコを用意しました。足りなければまだまだあるので、遠慮なく言ってくださいね♪ ホワイトデー えっ?これを私に…?嬉しいです!あっ、バレンタインのお返しなんですね!じゃあ来年もさらにお返ししますね! エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきましたね。体調を崩さないよう体調管理はしっかりしましょう! 七夕 星がきれいですね。今日は愛し合う二人が出会えるロマンチックな日です! 水着 ただ今期間限定イベント開催中です。特別に水着を着ちゃうそうですよ?期待してくださいね♪ ハロウィン トリックオアトリート!あ、お菓子ないんですか。じゃあ、どんなイタズラがお好みですか? 冬季 寒くなってきましたね。メンテナンスされてますか?規則正しい生活が、健康の第一歩ですよ! クリスマス メリークリスマスです!この特別な日、もし良かったら、今日はずっと一緒にいたいです! 神姫の発売日 え?これを私にですか?ありがとうございます、マスター!私の誕生日覚えていてくれたんですね!とっても嬉しいです♪ オーナーの誕生日 誕生日おめでとうございます!一緒にお祝いできて私も幸せです♪ 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (呼び方)、どうでしょうか?この際、呼び方を変えてより適切な関係性を築くというのは? (→決定後) (呼び方)ですね。わかりました! LvUP後 MVP獲得 3連勝後 やりましたよ、(呼び方)!3連勝です!このまま勝ち続けられるように頑張りますね! 3連敗後 専用スキル解放時 親密度Lv5後 (呼び方)!今日もバトルお疲れ様でした!え、これから用事があるんですか?いってらっしゃーい! 親密度Lv10後 そういえば(呼び方)とお出かけってまだしたことないような…。今度、(プレイヤー名)を誘ってみようかな? 親密度Lv20後 (呼び方)!もしよければ今度私とお出かけしませんか?いいですか?やったー!ありがとうございます! 親密度Lv30後 (呼び方)とお出かけできるなんてうれしいな♪じゃあどこに行きましょう?行きたいところとかありますか? 親密度Lv40後 私が選んでいいんですか?じゃあ…。ゲームセンター?ショッピング…?映画…?どこがいいかな…? 親密度Lv50後 よし!決めました!(呼び方)!私、お洋服が見たいのでショッピングに行きましょう! 親密度Lv60後 せっかくのお出かけだから何を着ていこうかな?(呼び方)!この服はどうですか?かわいいですか? 親密度Lv70後 よし!この服に決めました!私に似合ってますか?褒めてもらえるとうれしいですね、えへへ。 親密度Lv80後 わー!(呼び方)もおしゃれしてとってもかっこいいです!じゃあ早速出かけましょう! 親密度Lv90後 どうですか、この服!とってもかわいいと思いませんか?え、プレゼントしてくれるんですか? ありがとうございますうれしいです! 親密度Lv100後 (呼び方)!この間のお出かけあれってデートですよね…?大好きな人とのデートとっても楽しかったな。また一緒にお出かけしましょうね♪ 親愛度Lv1~19限定 親愛度Lv20~39限定 親愛度Lv40~59限定 親愛度Lv60~79限定 親愛度Lv80以上 頭タッチ(親密度1~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 胸タッチ(親密度1~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度1~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 私の好きなことですか?そうですね…。私は(呼び方)と一緒にバトルをしてる瞬間が一番大好きです! (呼び方)のメンテナンスのおかげか、ここのところすごく調子がいいんです。 クリスマス限定 メリークリスマスですね(呼び方)!パーティーの準備をしてますから今日は一緒にお祝いしましょうね♪ 年始限定 旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。どうですか?年末にこっそり挨拶の練習をしてたんです♪ 武装カスタム 戦闘力Up時 戦闘力Down時 武器LvUP時 素体カスタム 親密度LvUp時 限界突破時 わあ…まだまだ強くなれますね! 出撃時 入れ替え バトル開始時 がんばりますので、見ていてくださいね! 自分の力を出し切ってがんばります! → 楽しいバトルにしましょうね! バトル中 撃破時 コンテナ入手時 被弾時 オーバーヒート時 スキル発動時 これでパワーアップです! (HP回復系) ○○してあげます! これが天翔る天使の騎馬!グランニューレ! チャーミークリアボイス いきますよ!正々 堂々 楽しいバトルにしましょうね♪ 被撃破時 次出撃時 サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 やったぁ~!勝ちましたぁ!こんなに鮮やかに勝てるなんて、自分でもびっくりです! やりましたよぉ私!見ててくれましたよね! → ご褒美に頭撫でてください! 2位 2位でした。すっきりしない結果ですみません。 → 諦めませんよ!必ず成果を挙げてみせます! 3位 えっ、と…すみません、3位だなんて…次は、きっと… → この敗北の反省を活かして、必ず勝ってみせます! 4位 → コンテナ獲得後1位 そしてコンテナもゲットです! コンテナ獲得後2位以下 でも、コンテナは持って来ましたよ。プレゼントです! 親密度LvUP時 前よりもちょっとだけ、お力になれると思います! マスターレベルUP時 レイド成功時 レイド失敗時 カラフルコンダクト いつまでもあなたのそばにいます (2021/09/07~) 何なりと私に言ってくださいね 全力で勝ちます見てください いつまでもあなたのそばにいます(実装当初の歌詞と同じ) 神姫ショップお迎え時 はじめまして!お越しいただきありがとうございます! はじめまして!頑張りますので、よろしくお願いします! ゲームオーバー時 一緒に戦えて嬉しかったです!また来て下さいね! その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 え、リセットするって本気ですか? はい を押す 私、忘れたくないんです!もう一度チャンスを下さい! はい を押す(二回目) そう…ですか…本当は私…いえ、何でもありません、さようなら… リセット完了 はじめまして!お越しいただきありがとうございます! リセット取消 はあぁ、良かったぁ!もぉ!タチの悪い冗談はこれっきりにしてください! 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・お兄様・ご主人様 神姫ハウス内コミュニケーション LV60~LV69 頭 LP 胸 防御 ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N 30 40 110 300 100 R 35 45 120 350 120 SR 40 50 130 400 140 UR 45 55 140 450 160 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - マスクステータス 1/s ジェム回収展開速度 ブースト回復量 ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 N 1750 150 960 85 50 20 70 R 1050 105 70 40 90 SR 1140 125 90 60 110 UR 1230 145 110 80 130 覚えるパッシブスキル一覧 モード オブ エンゼルアーンヴァル専用パッシブ一定の確率で攻撃を無効化 防御力アップ[小]防御力を上げる 攻撃スピードアップ[小]攻撃時のスピードが上がる クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる ジェムの出す量軽減[小]敵に攻撃された際に出すジェムの出す量を少なくする 早熟型のパターンで覚えるスキル ホーミング性能アップ[小]射撃時の弾のホーミング性能が上がる 攻撃力アップ[小] *要限界突破(L110)攻撃力を上げる ブーストアップ[中] *要限界突破(L120)ブースト時の移動スピードアップ 通常型のパターンで覚えるスキル 射程増加[小]攻撃距離が伸びる ブースト最大値アップ[小] *要限界突破(L110)ブーストゲージの最大値を上げる 攻撃力アップ[中] *要限界突破(L120)攻撃力を上げる 晩成型のパターンで覚えるスキル 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる スピードアップ[小] *要限界突破(L110)移動する際のスピードアップ 射程増加[中] *要限界突破(L120)攻撃距離が伸びる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +30% 片手斬撃武器・両手斬撃武器・双斬撃武器・双頭刃斬撃武器・片手ライトガン・防具用武器・肩持ちヘビーガン 不得意武器 -30% 格闘打撃武器・両手打撃武器 神姫考察 攻撃力 神姫自体のATK値は低め。覚えるパッシブスキルも攻撃力に直接関わるのはクリティカル発生アップのみ。防具でカバーしないと火力負けは必須。 近接武器は頭一つ抜けた火力の双頭刃斬撃武器で火力の低さをカバーするか豊富なアクティブスキルを選べる両手斬撃武器のどちらかになる。 遠距離武器は片手ライトガン頼りになる。防具用武器でも戦えなくは無いが、射程は短いわ癖が強いわで試合に付いて行けない。 防御力 必ず覚える防御力アップに晩成型のみ覚える体力最大値アップ。神姫自体のDFE値や周りと比較すると物足りないか。 専用パッシブスキルは発動すれば強力なスキルだが低確立。 その専用パッシブスキルに防御面で大きく依存しているだけなので、総合的にな防御力は平均的よりやや高めといったところか。 専用パッシブスキルの発動率に自信があるならATK値重視のアセンも面白いかもしれない。 機動力 ごく平凡だが、全体の中では遅い分類に属する。 運用・総評 武装神姫というコンテンツの顔だけあって、なんでもできる幅広い対応力(得意武装の数が多い)のが売り。 特に数多い自身の武装がすべて得意武器に設定されているのが大きい。同一武装限定なんて縛りでも問題なく対応できるし、極論この神姫だけ育てても完結できる。 打撃系武器は一緒に開発されてないためか苦手武器扱いだが、どちらも扱いに癖があるので装備しなくても問題ないだろう。 専用スキルの発動率は約20%。攻撃自体無かったことにするのではなく、ダメージ表記のない0ダメージにする。0ダメージの攻撃を受けているので、ガード成功時にも発動し、その分ブーストも消費する。 発動してしまえばどんな攻撃も0ダメージにする強力なスキルだが、あくまで確立。発動すればラッキー程度の認識で。 同じ無効化のヴァッフェドルフィンとは得意武器がほぼ全て被ってないうえに発動条件はこちらのが緩い。自身の得意武器によってはあちらからの乗り換えを検討しよう。 機動面では優れた特徴が何もないので、近寄るのに苦労する。個体値ブースト単に機動力を上げるアクティブスキルか長射程でカバーしないと厳しい立ち回りを強いられる。 近接武器メインならGEモデルLS9レーザーソードG、遠距離武器メインならパウダースプレイヤーがオススメ。 防御力は最高峰なので、NRURのような最後のURで逃げ切る戦略にはうってつけ。 神姫攻略法 唯一の特徴である専用スキルも完全受け身のスキルのため、基本的に無視で良い。 ただ無視しすぎていつの間にか取り返しのつかない量のジェムを獲得していたなんて時は、専用スキルも合わさってかなり撃破に時間がかかってしまう。 相手もURで逃げ切る戦略が多いと思うので、基本の対策である早めにURを引きずり出すか完全放置でURを出させないか、随時様子を見て柔軟に立ち回ろう。 そうそうないとは思うが、渾身の単発超火力を無効化されたなんてこともなくはないので、できるなら手数の多い武器で挑みたい。 お迎え方 稼動開始(2020/12/24~)から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2021.5.26 内容:専用パッシブスキルの説明文変更 日時:2021.4.27 内容:得意武器に「双頭刃斬撃武器」の追加 苦手武器から「片手打撃武器」の削除 バトルメンバーにいる場合、バトル中のBGMが変更されるように。なお一番手に配列しないとBGMは変更されない。 日時:2023.8.7 内容:DEF、DEX、ジェム防御力、クリティカル、ダッシュスピード、ジャンプスピード、ブーストゲージ回復量を上方修正 ※実は7月のアップデート(どの日かは不明)で更新されていたのだが、発表はこの時となった。 コメント 作品の顔ともいえる神姫ではあるが昨今エーデルワイスに枠取られがち…性能の差というか異常な機動力の差なんだけど -- 名無しさん (2021-01-05 22 41 29) ヘッドセンサーユニコーン[A]全ステータスアップ [B][C]コンボの最終ダメージ増加 -- 名無しさん (2021-01-06 21 13 08) スキルが溜まりやすい? -- 名無しさん (2021-08-11 22 14 00) 晩成型で1防御力アップ2体力最大値アップ3攻撃スピードアップ4ジェムの出す量軽減5クリティカル発生アップ -- 名無しさん (2021-08-22 02 13 59) 名前 コメント